第7話
「はあ〜あ」
教室の窓からグラウンドを眺めて、あたしは長いため息を吐いた。
何やってんだろ、あたし。せっかく修司さんが送ってくれるって言ったのに、嘘ついて断っちゃった。
なんだか、マリアさんと修司さんが一緒にいるのをあれ以上見たくなくて……
「美男美女で優秀なサイキック……お似合いだよなぁ」
おまけにマリアさん、すごくいい人そうだったし。
「あたしじゃあ、相手にもならない……はぁ」
「あら?まだ残っていたの?」
ため息を連発しているところに声をかけられて、あたしは慌てて振り向いた。箱を抱えた米田先生が呆れ顔で教室に入ってきた。
「早く帰りなさい」
「は〜い……先生、その箱ってマコトくんですか?」
「ええ。本当は今日中に家に帰すつもりだったのだけれど、会議が入ってしまって無理なのよ。だから、明日までここに置いておこうと思って」
米田先生が教室の後ろの空きロッカーに箱をしまおうとする。
「あ、あの、じゃああたしがマコトくんを家に帰してきます!」
思わずそう言っていた。
「ほら、マコトくんもずっと箱の中だとかわいそうだし、近所の子供達が心配するし……」
「でも、あなた一人でだいじょうぶなの?」
「だいじょうぶです!家に行って箱の蓋を開けるだけだし……」
あたしの「怖がり」を知っている米田先生は心配そうな目で見てくる。
あたしも本心では一人で行くのは不安なんだけれど、でも、あたしは結局追試でも何もできていないのだ。これくらい、怖がっていたら本当に何の役にも立たない。
「用事があるんじゃなかったの?」
「あっ、えーと、もう片づきました!」
必死に誤魔化すと、米田先生はあたしを見てちょっと眉を寄せた。
「でも、青瀬くんがいなくても、だいじょうぶなの?」
その言葉にぎくりとした。やっぱり、先生にはわかっているよね。あたしは追試ではずっと涼に助けられているんだってこと。
でも、いつまでもそれじゃあだめなんだ。
「平気です!」
あたしはムキになって言い放った。
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