固い約束

ジュン

第1話

「鉱石のなかで最も価値があるとされるものは何か知ってる?」

朱美は僕に尋ねた。

「ダイヤモンドじゃないかな」

僕はそう答えた。

「そうね。どうしてダイヤはそんなに価値があると思う」

「産出量が少ないから。貴重だからかな」

「そうね。でも私にとっては、あなたが初めて贈ってくれた時計の方が価値があるの」

「ダイヤより?」

「そう。なぜなら……」

「…………」

「人生のダイヤって乱れるでしょう?」

「『人生列車』のダイヤかい?」

「そう。でも、あなたが贈ってくれた時計は、ふたりの時を狂うことなく刻むの」

「朱美……」

「『花の命は短い』なんて言ったりするけれど、私はあなたの愛が永遠の時を刻み続けることを信じてるわ」

朱美は笑顔でそう言った。

僕は言った。

「『花の命は短い』か。でも『華の命は長い』んじゃないかな。君は、華のある女性だよ」


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固い約束 ジュン @mizukubo

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