第67話

 「あれは……」アリサが呟く。


 「なんだか、奴の様子がおかしいわ」シエスタが言う。


 「あれは、身体能力をあげる薬の上位互換……いやそうだとしてもあそこまで濃くはっきりと赤い瘴気が出るはずがない……まさか」


 「察しがいいな」ローガは笑う。


 だが、その声は低くなっている。


 「これは人に魔力をもたらす薬だ」


 「なっ……それはかつての大戦争の後、製造すら禁止された」アリサは目を丸くする


 「流石の俺様でも五人と闘うのは少々手こずるだろう。子分共が向かった方角の森が騒がしい……おそらくはかなりの手練れだな」


 シエスタが笑う。


 「S級のマレットさんも来ているわ……あんたはもう終わりよ。リョウキの仲間もきっと無事だわ!」


 その報告を聴いて奴は舌打ちをする。


 視線には苛立ちが見え始める。


 「まぁ少しだけ俺様が本気を出せばすぐになんとかなる……あぁ言い忘れていた。もう一つ、お前らにいいことを教えてやる」


 ローガは懐から銀色の手のひらサイズの鍵を取り出す。


 「それは……?」


 花蓮が問う。


 「これは……お前ら異世界人が欲していたのに必要な古代技術の一つだ」


 ※ ※ ※


 「どうして、そんなものをお前が!」アリサが問う。


 「どうせ偽物よ!」


 「まぁ信じるかどうかは勝手にしろ……まぁ証拠をあげるなら……そこの異世界人二人が来た異世界の名前はだと俺様が知っていることくらいだな。俺様は戦いに緊張感を求めるたちだ。精々楽しませろよ」

 

 そういってローガは抜刀する。

 

 壮絶な戦いが始まった。


 

 

 


 

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