第66話

「豪傑のローガ?」花蓮が呟く。


 シエスタは頷く。


「えぇ……あいつは、Sの冒険者よ」


「S級、マレットさんと同じ……」


 シエスタは話を続ける。


「かつてあいつは大英雄と言われるまでの人物だった。冒険者では到底かなわなかった魔王の幹部一人とその強力な僕を次々となぎ倒したの」


「マジかよ」俺は呟く。


「でも……ある日を境にあいつの素行は悪くなり各地で戦争を引き起こすほどの重罪人となって、その後消息を絶ったの。」


「まぁ……そんなところだ。だが、お前らに一つ……いや二つだけいいことを教えてやろう」


 ローガは俺たちにゆっくり歩み寄る。


 隙がないのか、誰も攻撃を仕掛けない。


「Sランク級の実力がどのように分けられるか知っているか?」


 俺達からは沈黙が帰ってくるのをみてローガは楽しそうに笑った。


「Sランクは確かに強い、だがその中でも当然序列はある……俺様はな」


 奴は懐から水筒を出し、その中身を一気に飲み干した後、空の容器を地面に捨てる。


 「その中でも別格の実力を有していた……簡単に言えばだったんだよ」


 俺たちはその事実に戦慄する。


 飲み物を飲んでから奴の様子が少しおかしい。


 赤い色の瘴気が体から湯気のように出ている。


 


 

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