第36話 その2
俺は剣を握って防護壁を抜け出した瞬間。
バジリスクの鶏部分が咆哮をあげる。
視界の先で俺はポールとムセン、マレットさんが奮闘するのが見えた。
※ ※ ※
ポールは全身が埃まみれとなる。
ムセンの体もほこりまみれで、ムセンの瞳は猫のようになる。
スキル、キャッツアイと呼ばれるスキルを発動し、動体視力と視力を一時的に急速に上げたのだ。
さらにムセンの両腕と両足は丸太のように太くなり獣のような体毛が生えているる。
特殊な身体強化のスキル、マッスルベアーを発動し、文字通り熊並みの筋肉で数分間動けるというものである。
ポールはバジリスクの鶏部分のくちばしからの攻撃を受け流すのが精いっぱいで、ムセンはスキルを使ってもくちばしからの攻撃を弾き返すので精一杯。
マレットはムセンがくちばしからの攻撃を弾き返した一瞬のスキを突いて、攻撃をする。
だがS級の攻撃といえどもたった一人の冒険者の力で与えられるダメージは微々たるものである。
マレットは苦虫を噛み潰したように忌々しげにつぶやく。
「これではこちらが圧倒的に不利だ……せめて何か弱点でもわかれば……」
三人が固まってバジリスクと正面から立ち向かっている。
バジリスクが一度咆哮をあげると体から赤い瘴気がでる。
そして蛇の部分が彼らを睨みつける。
「いかん、目を閉じろ!次に全員が麻痺したら間違いなく……」
そうマレットがいった直後にバジリスクの鶏部分が翼で三人を攻撃する。
三人が攻撃を受けて吹き飛ばされる。
俺は吹き飛ばされた三人に駆け寄る。
「おい馬鹿、なにもわざわざこっちに来るこたぁねぇだろ!」とムセンが言う。
「いやまて、様子がおかしい……彼に全ステータス付与がかかっているぞ……アリサかシエンのおかげだな」
「そういってもこいつ、平和ボケ異世界出身でこの世界でもただの役人だぞ!」ムセンは叫ぶ。
マレットが敵のくちばしを弾いて冷静に言った。
「いや、ここは猫の手も借りたい……異世界人の力、見せてもらおう」
三人は再び武器を構える。
俺は頷き作戦を話すのだった。
「
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