第24話

 地下4層。


 ここでは上位蛮族、具体的には、体の大きなゴブリンや魔法を使うゴブリンシャーマン、顔が爬虫類の剣と盾を装備したリザードマンなどの死体がごろごろ転がっている。


 だが蛮族は存外にしぶとい。


 急に起き上がって襲うこともしばしば。


 瀕死の個体も多い。


 定期的に魔物の発生源である魔法陣も再生するのでそれを再度消すのも忘れない。


 ポールやムセンが死体を調査するとポールが怪訝な顔をする。

 

 「妙だな」とポールが呟きムセンも鼻をすんすんいわせて、頷く。

 

 「どうかしましたか?」


  俺は理由を尋ねる。


 「魔物の武器防具の質が高いし、持って帰れないほどの重い金属鎧がごろごろ転がっている」


 「いい事なんですか?」

 

 「いや、魔物が持っている武器防具の質が高いということは、冒険者から剥ぎ取ったということになる」


 「つまり……」


 「……あぁだ」


 俺は言葉に出さず、この階層は冒険者の遺体が最初に来た層とは比べ物にならないほどあることを覚悟すると同時に緊張で思わず、つばを飲み込む。


 「……でも何が妙なんですか?」


 「冒険者の遺体が何人くらいなのかは、ムセンの鼻で大体予想がつく……が略奪された武器防具の数に対して死んだ冒険者の数が少なすぎる」


 「……一体どういうことでしょうか」


 「それは俺にもわからない……。すぐにでも専用の運搬業者を呼ぼう。蛮族どもはあらかた片付いた」

 

 俺とそのほかの仲間も周囲を警戒しながら各種作業を進める。


 気がかりだ……。


 次はアンデッド族のいる第5層と悪魔族のいる第六層だ。


 悪魔族といっても小さい魔物らしいが。


 俺は余計なことを考えないようにしてテントの中に設置されたベッドで寝返りをうつ。


 

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