第22話

 地下二層。


 ここにいる魔物は主に森にいる動物がさらに凶暴化したものだとか。


 簡単に言うと人を襲うことに特化した熊とかヒョウ、ライオンが出るという感じである。


 さらりと頭の中を整理したものの……。


 俺は内心、熊とかニュースやテレビでしか見たことないなぁと不安になり、びびって漏らさないか顔を真っ青にしていた。


 ポールが地図をもって先頭を歩く。


 魔物と普通の動物の決定的な違いは「邪悪さ」があるかどうかで決まる。


 ちなみに何をもってして迷宮を「攻略」したかという定義については、その階層のもっとも強い魔物を討伐し、魔物の発生源である迷宮に描かれた魔法陣を消去して、宝物を全て開け、遺跡の調査等を全て済ませるという条件を達成することで言える。

  

 階層は攻略したといえども危険はまだまだ残っており、明かりを設置する費用がもったいないので薄暗い。

 

 後始末を任せられた立場としては気が気でない。


 二階層からは魔物の残虐性、つまり「死んだふりをして近寄った冒険者を殺す」という残虐な知恵を働かせるものも多いため、俺は事務処理に専念した。


 ちなみに一階層は「殺す」よりもゴブリンのように「略奪」を目的としたものが多く魔物によって殺された死体は極端に少ない。


 瀕死になって死んだふりをしていた魔獣(獣の魔物の俗称)との戦闘はたびたびあった。


 三つ目の黒ヒョウとかケルベロスのような三つ首のライオンとかに少々手こづるものの流石は高ランクの冒険者、半日ほどで瀕死の魔物全てを討伐し終える。


 魔物は自己再生機能も高く毒を持っていることがほとんどのため、俺を守りながら戦うために階層の入り口で飲み食いしていた時とは雰囲気が違い、皆、目がマジというかプロの狩人の目だった。


 そうしてすべての書類仕事を冷や汗をかきながら終えた後、俺達は迷宮内でテントにを張る。


 もちろん、眠るとき女性陣とは離れている。


 剣を磨くポール。

 

 ムセンのいびきを聞きながら俺はへとへとになって眠る。

 

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