第二話 きっかけ

事件が起きたのはこの祭りが始まる三日前にさかのぼる。特に部活に入っているわけでもない俺は、帰りの買いが終わってすぐ、帰路についた。そして、家に帰ってすぐに宿題を終わらせ、いつものようにベッドに転がりながらラノベを読んでいる時だった。『ピリリリ』とスマートフォンがなった。誰が電話してきたのかな?そもそも俺に電話する相手なんていたかな?そんなことを考えながら電話を取った。すると、いきなり

「先輩。一緒に恋叶祭りに行きましょう‼もちろんいいですよね⁉よし、それじゃあ先輩。日程を決めましょう‼」

そんなことを電話の相手は言ってきた。この声、そしてこの強引なところ、きっと相手は……。

「久しぶり、結花。その強引なとこ、昔から変わってないな。」

「お久しぶりです。先輩。私、そんなに強引でしたか?まあ、そんなことはこの際どうでもいいです。先輩、もちろん一緒に行ってくれます……よね?」

「その、祭りのことなんだがな……。結花が一緒に行こうって言ってくれた祭りってあの、意味の分からないキャッチコピーを掲げてるじゃんか。まあ、俺はあんなものまったく、まーったく信じてないんだけど、その、えっと、なんていうか……。万が一、そう万が一にもあのキャッチコピーが本当だった場合、えっと~その、何ていうか、俺たちってその、結婚することになっちゃうじゃん……。だから、そのなんて言うか、やめておいた方がいいんじゃないかなって思うんだけど……。

「もちろん知っています。ですから先輩、賭けをしませんか?恋叶祭りのキャッチコピーは本当なのか。先輩、自分で言うのもなんですが、わたしって結構かわいい方だと思うんですよ。」

自分で言うのはちょっとどうかと思うが確かに結花は可愛い。まあ、『可愛い』の基準なんてものは人によって違うから、ほかの人はどう思うか知らないが、少なくとも俺は可愛いと思う。

「そこで、賭けをするんです。この賭けに先輩が乗ってくれるのであれば私と一緒にお祭りに行ってください。もし、先輩が勝てば、先輩は私という可愛い後輩と結婚することができます。ただ、先輩が負けてしまった場合には私の言うことを一つ聞いてもらいます。どうですか?この賭け、先輩は乗りますか?」

「面白い。その賭け乗ってやろう。」

「さすが先輩。では待ち合わせの時間とかは後日、連絡をします。」

「悪いな。任せっきりになっちゃって。」

「いえいえ。ではまた今度。」

そう言って結花は電話を切った。

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