第117話 レベルアップと焼きそばと
フィラとの合流も果たし、ジャズはそのままクラッチへと帰還した。
やがて訪れるフィラとの別れの時を、ジャズは笑顔で送り出してやりたいと思うのだった。
********************************************
そろそろフィラの旅支度が済んだ頃合いかな、冒険者ギルドへ行ってみよう。
ギルドへと到着し、キョロキョロとフィラを探す、居た居た、フィラだ。大荷物を肩に担ぎ、テーブル席に座って寛いでいる。
フィラの元まで行き、声を掛ける。
「フィラ、準備の方は出来ているかい?」
俺が近づくと、フィラはこちらを向いて笑顔になり、荷物を指さして「はい。」と返事をする。
「いつ頃ここを立つつもりなんだい?」
「まだ決めていませんが、早ければ明後日にはクラッチの町を出立しようと考えています。」
「そうか、ならそれまでの間は一緒に行動できるな。兎に角腹が減ったよ、何か食べよう。」
「はい、ジャズ様。私もお腹が空いています。ですが、その前に、受付へ行って依頼達成の報酬を受け取ってこられてはいかがでしょうか?」
「依頼? ああ、そういやあクロウラーの討伐依頼を受けたんだったな、今回のごたごたですっかり忘れていたよ。確かに、いろんなモンスターを倒してきたから、その中にクロウラーが居たかもな。」
「はい、私は既に報酬を受け取っていますので、ジャズ様も受付で報告されてはどうかと。」
「うむ、解った、そういう事なら行ってみる。」
そうして、冒険者ギルドの受付カウンターへと移動し、受付嬢に対応してもらって、クロウラー討伐依頼の達成を報告し、「ご苦労様でした。」と、受付嬢から労いの言葉を貰って報酬を受け取る。
かなりの金額だ、銀貨27枚も貰ってしまった。いいのかな? まあ、期限の無い依頼だったし、いいか。
フィラはオークロードを倒したので、かなりの報酬を貰った筈だ。旅の軍資金には足りるだろう。
報酬も貰ったし、またフィラの元まで行く。その向かい側に座り、ウエイトレスの獣人女給に注文する。
「すいませーん、注文いいですか?」
「はーい、今うかがいま~す。」
呼ぶと、女給は直ぐにやって来る。「何にしますか?」と、注文を訊いて来るので、フィラと同じ物を食べたいと思い、「焼きそばを二つ。」と注文。
「焼きそばですね、銅貨3枚になります。」
俺は財布から銅貨を取り出し、支払う。女給が「まいどあり」と、元気に挨拶し、厨房へ向け、大声で「焼きそば二丁!」と返事。
厨房では料理を作り始めたみたいだった。ギルド料理もたまにはいいよな。酒もついでに飲めるし。
料理が出来上がるまで少し時間がかかる。それまで待つのだが、そういやあ経験点が溜っていたっけなと思い出し、レベルを上げようと思った。
ステータスを確認、よしよし、経験点が6200点も溜っている、こりゃ一気にレベルが上げられるな。
今のレベルは15だ、まずは5000点を使ってレベルを20まで上げる。よしよし、上がった。
今のクラスだと20が上限の筈だ、………やっぱりな、これ以上レベルは上がらない。
レベル10刻みでカウンターストップが掛かるらしい、この辺は「ラングサーガ」と一緒だな。
これ以上レベルを上げるには、上級職にクラスアップする必要がある、一応メニューコマンドには「クラスアップ」のコマンドが光っているが、うーむ、上級クラスか、俺もいよいよ上級か。
今のクラスは上忍、これをクラスアップしてマスター忍者へとクラスアップしよう。
{クラスアップしましたのでボーナスが与えられました}
{スキルポイント20ポイント獲得しました}
よしよし、クラスアップしたぞ。俺の体が一瞬光ったが、もう慣れた。
「あれ? ジャズ様、今光りませんでしたか?」
「多分、気のせいだよ。」
「そうですか。」
もうこのやり取りも小慣れてきた感じだ。さて、レベルが20に上がった事で、スキルポイントが125ポイントもある。色々と超級スキルが取得できそうだぞ。
まずは剣術のスキルレベルが4なので、これを上限の5へと上げる。スキルポイントを5ポイント使った。よし、これで剣術は上限のレベル5へと上がった訳だ。
お次は、インファイトのレベルを上げよう、今のレベルは3だ、これを上限の5まで上げる。
よーし、上がった。残りのスキルポイントは30ポイントだ。やはり超級スキルともなると、消費ポイントも桁違いになるな。レベル5まで上げるのに90ポイントも使ってしまったよ。
だが、これでインファイトのスキルレベルは上限の5まで上がった。これはかなり接近戦で有利に事を運べるようになった筈だ。それだけ強力なスキルだからな。インファイトは。
あとは、そうだな。ここらで一丁、指揮官のスキルでも取ろうか。5ポイントで習得できる。
よしよし、スキル「指揮官」を習得したぞ、残りのスキルポイント25ポイントだ。
これは今後の為に残しておこう。経験点も残り1200点だ。残念ながらレベルを21に上げるには足らない様だ。
今のところはこんなもんか。ステータスをチェック。こんな感じだ。
ジャズ LV20 HP60
職業 忍者
クラス マスター忍者
筋力 200 体力 190 敏捷 210
器用 170 魔力 70 幸運 170
ユニークスキル
・メニューコマンド
・精神コマンド 9/9(必中 不屈 熱血 気合)
・エース
スキル
・ストレングスLV5 (フルパワーコンタクト)
・タフネスLV5
・スピードLV5
・投擲
・剣術LV5 (ブレイジングロード)
・身体能力極強化
・全属性耐性LV5
・見切り
・インファイトLV5
・指揮官
経験点1200点 ショップポイント4400 スキルポイント25
武器熟練度
小剣 150 剣 200 槍 35
こんな感じになった、うむ、中々見れるステータスになってきたじゃないか。いや、まだまだだな。
しかし、レベルが20ともなると、自分でもびっくりするぐらい能力値が上がっている。こりゃ凄いぞ。
それにしても、俺もいよいよ上級クラスへとクラスアップしたか。これで殆どの敵と渡り合える様になったと思いたいな。
精神コマンドも一日9回も使えるようになったし、切り札だからな、大事に使っていこう。
あ! 剣術のレベルが5になったから、アクティブスキルの「ブレイジングロード」が使える様になっているぞ。
こいつは一対多数の状況をひっくり返すほどの強力なスキルだ。使いどころを見極めないとな。
「指揮官」も習得したし、これで周りの味方に勇気と士気高揚を与えるようになったぞ。
インファイトもレベル5になった事だし、これで接近戦は大丈夫そうだな。
近接戦闘においては、これでかなり強くなった筈だ。マスター忍者らしくなってきたってもんだ。
よしよし、こんなもんか。ヒットポイントも60になって、かなり打たれ強くなったと思う。
こんなもんかな、さて、焼きそばはどうかな? そろそろ出来上がりかな?
お腹が空いた、フィラもだろう、そうこうしていると、女給が料理を運んできた。
「はいよ、焼きそばお待ち!」
「お、来た来た。よーし、早速食べよう。」
「はい。」
テーブルに焼きそばが二つ置かれて、旨そうな匂いが漂ってきた。ソースが濃厚そうだ。
野菜たっぷり、肉多めの焼きそばだ。旨そうだ、食欲をそそる。箸を持ち、「いただきます」をする。
ソースの絡んだ麺を箸を使って口に運ぶ。うん! 美味い。やはり最高のスパイスは空腹だな。
濃厚なソースがもっと食べたいと舌を急かす。うむうむ、旨いなあ。こりゃ。
「フィラ、旨いよな、この焼きそば。」
「はい、美味しいですね、ジャズ様。」
俺もフィラも、一心不乱に焼きそばを食す。お水も喉を潤す。キンキンに冷えた水はよく合う。
熱い焼きそばは、あっという間に完食。両手を合わせ、「ごちそうさま」をする。
うむ、旨かった。また食べたくなる味だな、これは。こういう下町風な食べ物は好きだ。
屋台とかにもあるかもな、今度探してみよう。
「………………。」
なにやらフィラが黙り込んでいた。どうしたのだろうか?
「フィラ? どうかしたか?」
「いえ、ただ、こうしてジャズ様と一緒に食事ができるのも、今回で最後なのかと、ふと思っただけです。」
「なーんだ、そんな事か。いいかフィラ、別に今生の別れって訳じゃないんだ、またいつか会えるさ。なっ、そうだろう。」
「はい、そうですね。ジャズ様。」
湿っぽいのは苦手だ。ここは笑顔で送り出すべきだろう。
フィラが旅立つまで、なるべく一緒に行動しよう。思い出作りって訳じゃないけど、フィラとは色々とあったからな。
夕暮れ時、冒険者ギルドの酒場で、二人は静かに酒を飲み交わした。
何の取り留めの無い会話だが、お互いによく聞いたり話したり、夜が更ける時間いっぱいまで、語り合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます