推理小説

 推理小説の文庫本を読んでいる女がいた。

 わたしが本に目をとめたのを横目にして「読み終わっていないから、ネタバレはしないでね」と女は言った。

「なにをいまさら。物語は最後のページで終わる。それにくらべれば、なにもいうことはないよ」わたしは取りすましたことを言った。

 わたしの態度をみて女は愉悦の表情をうかべ言った。

「この小説懸賞金つきなの」

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