腕時計
よん
第1話 出会い
10歳の時、姉ができた。
6月初旬の梅雨に入りかけたある日、玄関のチャイムを鳴らしながら家に上がり込んできたのだ。彼女は「ただいま」と言いながら自然と食卓についた。
雨野夏海(22)、つまり12個上の私である。
「やぁ」なんて気軽に話しかけてきて、「可愛い」「小さいなぁ」って言いながらほっぺをつんつくしてくる。嫌だけど嫌じゃない。「満更でもない顔してるよ」って言われるとなんだか心がモヤモヤする。
生意気盛りの私にベタベタの姉。いや一応私。一人っ子だった私には姉妹ができて新鮮な暮らしが始まった。
ちなみに、親は何も言わずに受け入れていた。ずっと前からいたみたいに、「なっちゃん」って言うから、どっちのことを言ってるのかわかんない。そして、友達には姉ができたことについて話さなかった。面倒なことになりそうだし、どうせ信じてくれる子なんていないと思う。
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