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「お葬式が終わっても見つからなかったね、あの子」
「家の中にはいなかったし、おばあちゃんの家の近くのどっかに隠れてるんだろうな」
「あなたが処分だなんだって言うから怖がって出てこないのよ」
「おばあちゃんも亡くなったんだ。あの世でいっしょにさせてやるのも情けのひとつってもんだろ」
「だからそういうのやめてってば」
「まあ、保健所うんぬんはともかく、近所で迷惑をかけなければいいがね」
「散歩中の犬が電柱へひっかけるのもやかましがる地区だからなあ」
「おばあちゃんが亡くなったことがわかればよそに行かないかしら」
「どうかな。わかるとは思えないし、犬と違って”家につく”ともいうし」
「鍵は全部締めてるんだから入りようがないでしょ」
「たしか生まれたときから室内飼いだったんだろ? この寒さでそのうちのたれ死ぬんじゃないか」
「もうっ。あなたはすぐそういうことを」
「まあ、見つからないんじゃしょうがないよね」
「だよね。わざと放したわけじゃないし」
「それより初七日のことだけど、来られるのは私とあなたとあなたと――」
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