第11話ときがわ町 七重の大桜

七重の桜  平成十六年四月六日


 どうしても七重の大桜が気になって仕方ないので出かけることにした。


今週は快晴、しかも暖かくて気候が応援してくれる。


予定より少し出かけるのが遅くなったがまっすぐに都幾川町へ出かける。


この道は年中通っている道だが目的の七重の地区はどの道を


登っていけば良いのか分からない。


都幾川の慈光寺へ入る道を通り過ぎそろそろ道があるはずだか・・と


見落とさないようにノロノロと車を進める。


第一候補の道の所に工事中の立ち入り禁止の案内板がある。


どうしようと思っていると道脇の家からその家の主婦らしい人が出てきたので


聞いてみる。


工事中ではあるが七重の里までは行けるというので登っていく。


山道である。


恐る恐る上っていくと道が二手に分かれている。


迷った末に左に川がありそうなのでそっちに道をとるがいつも


石小土の清水を取りに行く道に出てしまう。


戻って二手の所を右手に登っていく。


道幅の広くなった所に丁度、畑に下りていくおじさんの姿を見つけ、


大桜の事を聞くと花はまだだという。


なぜなら花が咲くとこの場所からも桜の花が見えるのだという。


場所だけでも確認しようと思い聞いてから登っていく。


道は工事中で途中から舗装が無くなり、日曜に降った雨のせいか


土が粘土質のように軟らかくなってきた。


車が小さいため腹をつき始め止ってしまった。


もう、心臓がバクバクである。


こんなところでえんこしてしまったらなんて考えたら顔面蒼白である。


その先に進むのが怖くなって、やっとUターンして戻ってくる。


舗装工事が終わらないと怖くて行くことが出来ないので


来年のお楽しみにすることにした。


あーあ、怖かった。


H19.4.6(金)  


三年前のリベンジに出かける。


急坂を登るのは苦手なのだが頑張って登る。


道はきれいになったと聞いたのだが2,3年前に登った時と変わらない。


相変らず舗装はされていない。


前は道がぬかるんでいてはまりそうで怖いのでÙターンしてきた場所の先が


道が二手に分かれている。


左60mに七重の大桜と立て札がある。


なーんだ、すぐ手前まで来ていたのだ。


立札の所に車を置いてスケッチブックを持って登っていく。


あ、居た,居た。幹をグイっとねじった姿の大桜がすっと立ち上がっている。


歌舞伎役者が大見えをきって上から見下ろしているかのよう。


スケッチブック二枚に描くがあまりに誰も居なくてシーンとして


寂しいので帰る事にする。


本当はもう一枚、大きい紙に描きたかったのだが花もまだこれからなので後にする。




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