ベースベースで

第1話

　なにごとも基礎からコツコツと。美味しいところだけをつまむようなことはしない。美味しく仕上がるまでコツコツと基礎を積み重ねていくのだ。

　まわりを見ればこれ見よがしに美味しいところをいただく輩が多い。その誘惑に歯を食いしばって耐え、今日も基礎をコツコツとこなしていく。基礎を笑うものは基礎に泣くのだ。

　ひとり周回遅れのような日々。それでも着実に前へと進んでいる実感が生まれてきた。もっと前へ進みたい。そんな欲望が原動力になり日々のペースが上がっていく。

　そんなある日。事件が起きる。美味しいところばかりをいただいて、一足飛びに成長していった輩が大失敗を犯したのだ。基礎がないから対処のしようもなく、呆然と眺める姿は見るに耐えなかった。

　ぼくは彼らを押し退け、その問題に対処することにした。基礎が分かっているから問題の原因がよく分かる。解決はあっという間だった。

　彼らが問題の責任をとって去っていく。ぼくの周りを囲む彼らの同類は青ざめていた。

「ざまぁ見ろ」

　そんな言葉が口から出そうになりぐっと堪える。そんな罵声を浴びせてもぼくの得にはならない。そんなもの積み上げても意味がないのだ。

　今回の一件でぼくは改めてひとつひとつを大事にしていこうと決めた。それはひとつひとつを大事にすることで成功につながる事がわかったからだ。

　成功は自信をくれる。自信は力だ。力をつけるためにもぼくはひとつひとつを大事にしていこうと思うのだ。