マイナススキルの落ちこぼれ修行記
naimed
プロローグ
「バルさん…残念ながら貴方と組みたいパーティーはいません、私たちも提示はしているんですけど」
ギルドの受付嬢の言葉は予想通り、わかっちゃいるがどうにもならんか。
俺の名前はバル・ナーズ。今月冒険者デビューしたばっかりの新米だ。
自然発生するダンジョンから溢れ出てくるモンスターを駆除する冒険者は喰いっぱぐれのない仕事なんだが、どうも俺には才能がない…というより向いてないようだ。
空気を換えるため一度ギルドを出る。そのまま大通りを歩いていると人相の悪い3人組の男たちが声をかけてきた。
「お、マイナススキル持ちがいやがるぜ!有り金寄越せっ!」
「まーだ冒険者諦めきれないのかよ?サンドバックになれよ!」
「シカトしてねぇで何とか言いやがれ!稽古つけてやるよ!」
お約束のチン〇ラの絡みか。わざわざ自分たちの時間をつぶしてまで人の事揶揄ってくるのは殊勝だが言ってる事は全て事実なので何も言い返さない。
俺が黙ってるのをビビったと勘違いした三人は一斉に向かってくる。
「おらぁ!歯ぁくいしば……あれ?何だこりゃぁ……」
「ぁ…なんか力が抜けて……」
「ぅぐっ……もぅ立てなぃ……」
スキルを使用。3人組は突如として道端に倒れ込む。動けない間に全員タコ殴りにもできるが町中でのケンカが発覚すれば被害者たる俺も衛兵から取り調べを受ける事になる。面倒事はイヤなのでこれで終わりだ。
ここ20年前ぐらいに発明された「理鬼学(りきがく)」、人体の生命エネルギーである「鬼力(きりょく)」を扱う技術である。
普通なら攻撃・防御力のアップ、速度上昇などの人体への支援術、自分の周囲の自然元素を操る等戦闘に役立つ
俺のスキルは…[弱体化]である。自分の周囲5mの範囲内の対象を弱体化させるので敵味方の区別はない。あくまで支援術であるため攻撃してモンスターを倒す事ができないスキル、いわゆるマイナススキルだ。
困った事に発生するモンスターは「
なので誰も俺をパーティーに入れてくれない。攻撃もできない上に自分達の背中を預けることもできないので当たり前っちゃあ当たり前だが。
このままだと埒があかないから何か違う仕事でもしなきゃならんのか。
そう考えながら移動するとまたもや新たな四人の冒険者達に囲まれちまった。男がリーダーで女3人のパーティーか。
「待ってくれ!君アレだろ?スキルが弱体化っていうお荷物野郎は!」
無言で睨み返す。悔しいが言い返せねぇ。でもここで怯むとギルドの冒険者達からはナメられつづけちまう。また俺のスキルで黙らせるしか
「もぅバカ!そんなんじゃ警戒しちゃうでしょ?因縁つけようってんじゃないんだし」
「ったく!声掛けはアタシがやるってば、実はアンタに話があってね」
「あの、貴方には是非私たちのパーティーに入って頂きたいのですが」
ぱーてぃーにはいっていただきたい?なにそれおいしいの??
~戦果報告~
[弱体化]
使用者の周囲5mの範囲内の対象の運動能力を阻害し弱体化させる。敵味方の区別はできない。範囲内に対象がない場合は使用者自身に弱体化がかかる。
使用可能スキル:弱体化
◇◇◇
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