第22話 ついに購入未来のお家

 あちこちのWebサイトを巡って確認。

 中古ユニットハウスの大体の相場は掴めたように思う。


 どうやらこの異世界移住サイトで斡旋している価格は良心的な模様。

 ならこのサイトで購入したほうがいい。

 電気系統等余分なものは排除されている上、窓や扉は外敵に備えたものになっているから。

 そんな結論が出る。


 なおもっと安い選択もあった。

 例えば中古コンテナ。

 広さがそこそこでかなり頑丈だ。


 ただ欠点も多い。

 構造上、扉が内側から開け閉め出来ない。

 外から閂をかけられたら泣きたくなる。

 窓が無いから圧迫感もあるだろう。


 勿論その辺を改造して扉や窓をつけたものもある。 

 でもそうなると高価になる。

 中古ユニットハウスの方が安い。

 そんな訳でメインの住居にコンテナ流用はやめておく。


 さて、メインの住居はこのサイトの中古ユニットハウスという事で決定。

 次に決めるのは広さや窓サイズ等の仕様だ。


 家というと気になるのが水回り。

 キッチン、トイレ、風呂だ。

 この価格帯のユニットハウスにそんな設備はついていない。


 トイレは中古のユニットを別棟として購入しよう。

 となると残りはキッチンと風呂だ。

 獣や魚の解体作業をするならシンクは欲しい。

 水は魔法で出せるとしてもだ。

 この辺も中古の設備であるだろうか。


 風呂も絶対欲しい。

 どうしても身体を洗いたくて気持ち悪いなんて時もあるだろう。

 しかし風呂専用のユニットハウスは高価。

 単体で100万円以上する。


 なら水関係だけ別のユニットハウスを購入するか。

 しかしそれは高くつきそうだ。


 出来ればお家関係については今日中にケリをつけたい。

 なんせ調べてみると納期的には2週間ちょい前の今でぎりぎり。

 今日明日にでも決めないと間に合わないのだ。

  

 まず風呂について考える。

 風呂と言ってもシャワーやガス給湯器は望めない。

 電気もガスも無いからだ。


 つまり使えるのは浴槽と洗い場だけ。

 身体や髪を洗う際はお湯を浴槽から洗面器に汲んで使う方式となる。

 だからお家の中でも設置できない事はない。


 問題は湿気をどう考えるか。


 よし、どうするかわからないので先に浴槽を探そう。

 ガシガシ検索する。

 ふむふむ、洋風の脚付きの優雅な奴は安くても30万円ちょいか。

 予算超過だな。

 ガンガン絞っていく。

 主に値段条件で。


 それにしても通販の検索は何故関係ないものが大量に出てくるのだろう。

 こっちはしっかり条件を絞っているのに。


 風呂の蓋とかならまだいい。

 防水のゲーム用ヘッドセットとかは浴槽とは関係ないだろう。

 こういう店では絶対購入してやらない。

 なんて怒りながら見ていく。


 空気で膨らませたりビニルプール方式で組み立てたりするものなら安い。

 しかし耐久性に不安がある。

 やはりそれなりにしっかりした素材のものがいいだろう。

 何せ異世界、壊れたら購入という訳にいかないのだ。


 おっと、輸入物に安い新品の浴槽があった。

 金属製でそこそこ頑丈そうだ。

 値段的にも悪くない。


 ただ此処で決めてはいけない。

 型番を頼りに更に検索。

 よし、アメリカの通販サイトで400ドルぎりぎりくらいの値段で売っていた。


 しかしまだまだ決めてはいけない。

 中古で安いのがあるかも探そう。

 今度はオークションサイトで検索。


 おっと、凄いのがあった。

 浴槽ではなくユニットバス一式だ。

 1万円以下なんてとんでもない金額でオークションで出ている。


 これくらいなら私でもぎりぎり組めそうな気がする。

 隙間が出来たらアルミテープかコーキングで誤魔化せばいい。

 どうせ私しか使わないのだ。

 見てくれを気にする必要はない。


 ただ此処はオークションサイト。

 実際にこの金額で落札できるかは定かではない。


 オークション相場検索サイトなるもので調べてみる。

 やはりこの値段で落札は無理な模様。

 落札相場は概ね5万円くらいから20万円位まで。

 ただ引き取り限定とか解体現場渡しとなるとぐっと相場が下がる模様。


 移住事務局、こういった現場受け取りにも対応しているのだろうか。

 試してみるのが一番早い。


 オークションサイトにちょうどいい商品があった。

『ただし直接引取り限定』

 中古だがなかなか良さそうなユニットバス一式だが、その注意書きのせいで値段が安め。

 このページのアドレスをコピー。

 

 新しいタブを開いて移住計画サイトの持ち物リストにサイトアドレスを貼り付け。

 すぐには値段等が出ない。

 これは無理かな、そう思ったら表に注意書きが出た。


『この物品はオークション実施中です。入札しても良い最高金額をこちらに記載してください』


 別窓でそんな表示が出る。

 どうやら引き取り可能な模様だ。

 でも一応ヘルプボタンがあったので見てみる。


『オークションにかかっている物品は入札しても良いという最高金額を入力してください。自動でその金額まで応札される事になります。

 いきなりその最高金額で入札する訳ではありません。現入札金額の100分の1あるいは最低上乗せ価格のどちらか高い方で、出来る限り安い価格で応札できるよう応札を繰り返す仕組みになっております。

 なお物品の引き取りについては希望が無い限り、当事務局の方で行います』


 便利というかかゆい所まで手が届いている。

 直接引き取りなら5万円くらいで落札できるだろう。

 一応念の為1万円多く、6万円と入力しておく。

 これで風呂関係は決定だ。


 さて、ユニットバス一式が設置できるなら大きい部屋1つの方がいいだろう。

 ただ問題は重さ。

 制限がおおよそ2,000kg。

 この10畳では一番安い69万円のものは……1,450kgか。


 先程のユニットバスは310kgだった。

 トイレは……綺麗な洋式のユニット一式で140kg。

 屋根付き扉つきなのに案外軽い。 


 ここまでの重さは合計1,900kg。

 これにベッドや家具がプラスされる。

 結構厳しいかもしれない。


 アイテムボックス魔法の制限を超えた場合は、その荷物は現地で外に出た状態で出現する。

 確かそんな事が書いてあった。


 なら超過した荷物の一部を外に置いたまま、先に家なりトイレなりを設置してしまえばいい。

 その後出現場所に戻って、置いた荷物を回収すれば。

 トイレユニットなんて外置きにちょうどいい。

 140kgあるし、元々屋外設置用だから。


 ユニットバスを入れて大きめのシンクを入れてセミダブルのベッドを置くと仮定して間取りを考える。

 うむ、6畳では無理な事が判明。

 8畳でも隙間しか残らない。

 どう考えても10畳以上必要だ。


 そして中古ユニットハウスは5坪より大きい物だと一気に値段が上がる。

 つまり購入するのは5坪、つまり10畳タイプに決定だ。

 ユニットトイレも購入しておこう。


 あとはキッチン、流し台があると魚をさばくなんて時も楽だ。

 何せ異世界野生生活。

 家庭料理レベルではない大物をさばく可能性がある。

 だから業務用で大きい流し台と作業場を。

 もちろん予算削減のため中古で。


 部屋の広さと間取りを考えながら大きめのシンクと作業台がついた業務用ステンレス製のものに決定。

 排水はバケツにするか、家に穴をあけて外に出すか。

 穴をあけるとなると工具も必要かな。


 ユニットハウス本体が69万円で屋外トイレが12万円。

 ユニットバスが最大6万円で中古業務用シンク&台が5万円。

 100万円が一気に減った。

 ユニットバスが6万円だとすれば残りは僅か8万円。


 しかしこれはキャンペーンでついた、言わば他人の金。

 私の懐は痛まない。

 しかし今後の買い物は慎重にやらないとな。

 少しだけ緊張感。


 さて、取り敢えず勉強も終わったし急ぎの買い物もした。

 疲れておかしくなる前に休憩しよう。

 明日も朝の運動がある。

 だからここは薬を使ってもスパッと寝よう。

 睡眠薬を飲んでおやすみなさい……

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