第43話 活動方針

ヨツバから返事を聞いた日からは、完全にとはいかないけど以前のように連携もとれるようになった。


本人が言っていた通り、心の整理が出来たようだ。

元通りというわけではないけど、気まずい空気はない。


「大分お金は貯まってきたから、経験値重視にしたいんだけどどうかな?」

僕はヨツバに活動方針を相談する。


「依頼報酬がなくなるとかでなければ、それでもいいよ。どの依頼を受けるの?」


「考えているのは依頼じゃないんだ。報酬が0ってわけではないけどね。さっき依頼報告をしに行った時に受付の人に聞いたんだけど、この街から少し離れた所にダンジョンがあるんだって。昔からあるダンジョンで最下層まで攻略されてて、そんなに危なくはないみたいなんだ」


「ダンジョンだと経験値が多いの?」


「経験値が多いんじゃなくて、魔物がいっぱいいるらしいんだよ。今は戦ってる時間よりも探している時間がほとんどでしょ?探さなくても向こうから襲ってくるくらいらしいから、稼げる経験値が増えると思うんだ」


「それなら報酬も増えるんじゃないの?」


「ダンジョンの魔物はそこらにいる魔物とは違うんだって。なんでかはわからないけど、倒したら消えるらしいんだ。だから買い取ってもらえるものはないんだよ。それに魔物は基本的にはダンジョンから出てこないみたいだから、ダンジョンの外にいる人を襲うこともないみたいなんだ。そうなるとギルドとしては倒してもらうメリットがあまりないから報酬もほとんど出ないんだよね」


「お金が貰えなくなるのは困るよ」


「一応、少しは貰えるみたいなんだ。魔物がダンジョンに湧きすぎるとダンジョンの外にも出てくるようになるらしくて、間引きは必要みたいだから。倒した魔物の数にもよるけど、1日で銅貨2枚くらい」 


「それだと宿に泊まれないね」


「そうだね。だからダンジョンでレベルを上げている時はお金は減っていくよ。それからこの街から通うのは厳しいから、今の宿からは出ることになる。近くに村があるらしいからそこに拠点を変更することになるよ」


「クオンはその方がいいと思ってるってことだよね?」


「そうだよ。何があるかわからないから、レベルは出来るだけ上げておいた方がいいと思うんだ。上げたい時に近くにダンジョンみたいな所があるとは限らないからね。それにお金も今は減っていくけど、レベルが上がって強くなれば、今よりも難しい依頼も受けられるようになるから長い目で見れば問題ないと思うんだ。前にも言ったけど、一時的に別行動してもいいよ。僕はダンジョンに行ってくるから、ヨツバは1人でも大丈夫な依頼を受けててもいいよ」


「一緒に行くよ。それでいつから行くつもりなの?」


「ヨツバは部屋をまとめて前払いで借りてるでしょ?その後でいいかなって思ってるよ。今出たら前払いした分がもったいないからね」


「わかったわ。それなら3日後ね」


「それまでは報酬が高い依頼を受けようか」


「うん。助かる」


3日後、僕達はダンジョンがある村へと移動した。

朝に街を出たけど、村に着いたのは夕方だった。

とりあえず今日は宿を探して終わりにする


「村にも宿はあるって受付の人は言ってたけど、どれだろうね?」

村の家はどれも似たような感じだ。


街の宿屋は大きな看板があったので、すぐにわかったけど……


「そこの畑にいる人に聞いてみよっか」

ヨツバは言うけど、僕には知らない人に声を掛けるのは少しハードルが高い。

でも聞くしかないよね


「ちょっと聞いてくるね」

そんな僕を察してかヨツバが1人で聞きに行く。


「あそこの家が宿屋だって。普通の家みたいだから民宿みたいな感じかな」


「ありがとう。行こうか」


教えてもらった家に行く。


「そういえば聞いてなかったけど、どのくらいここにいる予定なの?」

部屋を借りるのに滞在日数は決めないといけない。


「ヨツバは今レベルいくつ?」


「11だよ。クオンは?」


「12だね。上がり具合にもよるけど、レベル20を目標にしようか。とりあえずね。少なくても1週間は滞在すると思うよ」


「わかった。1週間分借りてくる」

ヨツバが部屋を借りに行く。僕は宿屋の中には入らない。

宿屋はここだけかもしれないので、僕が借りないのは不審に思われるかもしれないからだ。


少ししてヨツバが戻ってきた。


「借りられた?」


「うん。7日間借りてきたよ。素泊まりで銀貨2枚だったから大分安いけど、部屋もそれなりだったよ」


「大丈夫?」

あまりの安さに驚く。街の半額くらいだ


「大丈夫よ。それなりだけど、ひどくはなかったわ」


「それなら良かったよ。ダンジョンに行くのは明日からにしようか。ご飯はどうするの?キッチンとかはある?」


「貸してもらえることになってるよ。共同みたいだけど、泊まってるのは私だけで、使うのは私と宿の家族だけみたい」


「それなら、材料を渡しておくよ」

僕はストレージからパンと肉、野菜などを取り出して渡す


「ありがとう」


「明日はいつも通りの時間に宿の近くで合流しようか。大丈夫だと思うけど、いつまで経っても僕が来ない時は部屋の中で待ってて」

向こうの世界で急に予定が入る可能性もあるので、先に伝えておく。

誰かに見られていたら、来れなくなったと伝えに来ることも出来ない。


「わかったわ」


現ステータス

LV:12

HP:40/40

MP:41/41

STR:6

VIT:8

DEX:16

AGI:10

INT:30


スキル

水魔法[ウォーターボール]

火魔法[ファイアボール]

回復魔法[ヒール]

[アラーム]

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