第44話 ダンジョン
翌日から僕達はダンジョンに潜る。
「このダンジョンは攻略済みでどの階層にどの魔物が出るかはわかってるんだ。でもたまに違う魔物がいる時があるらしいんだよ。その魔物は変異種の可能性が高くて危険らしいから、見かけたら逃げよう。問題なく倒せるかもしれないけど、先に決めておいた方が安全だから」
「わかったわ」
「それから20階層でこのダンジョンは終わりらしいんだけど、10階層のボスが僕達にはまだ倒せないから、ボス部屋は開けないように気をつけてね。扉を開けない限りは外には出てこないんだけど、開けたら倒すまで出られなくなるらしいから」
「うん、気をつける」
「それと、僕達が潜る予定の階層には命を落とすようなトラップはないみたいだけど、トラップを見つけるスキルは持ってないから気をつけて。毒消しのポーションは街で買っておいたし、常に回復魔法が1回ずつは使えるようにMPは管理しておくけどね」
「気をつけるってどうすればいいの?」
「ゲームみたいな感じだったら、床が少し盛り上がっていて踏むとスイッチになってるとかだけど、そんなわかりやすく違和感があるってことはないと思うし、いつトラップが発動してもいいように心掛けておくくらいかな。後は、壁を触らないとか、宝箱を見つけても近づかないとかかな」
「近づかずにどうやって宝箱を開けるの?」
「開けないよ」
「お宝が入ってるかもしれないし、トラップを気にして開けないのはもったいないんじゃない?」
「このダンジョンは攻略済みだから宝箱なんて残ってないよ。隠し部屋を見つけたとかなら可能性は0ではないかもしれないけどね。だから基本的には宝箱があったらトラップだよ。そもそも宝箱のトラップがあるかはわからないけどね」
「そうなの?」
「そうだよ。ギルドでもこのダンジョンにはお宝が残ってないって聞いてるから期待したらダメだよ」
「ちょっと残念」
注意しないといけないことをヨツバに説明し終わったので、早速ダンジョンの中に入っていく。
「1階層目はスライムしかいないから、無視していくよ。えっと……地図によると階段は向こうだよ」
攻略済みなこともあり、ギルドで地図が売っていた。
トラップの場所も書いてあったので購入した。
書いてあるのは発見されているトラップだけなので、書いてないところにトラップがないというわけではない。
3階層にボアがいるので、まずはそこで経験値を稼ぐ予定だ。ボアの他にウルフもいるらしいけど、経験値的に狙うのはボアだ。
ボアなら囲まれても、流石に逃げる余裕もなくやられることはないので安全だ。
問題なければ少しずつ下の階層に向かう予定でいる。
「この先が3階層だよ。今までは魔物は無視してたけど、ここで手当たり次第倒していこうか」
「わかったわ」
3階層まで来る間にわかっていたことだけど、聞いていた通り魔物はたくさんいた。
囲まれる程ではないけど、少し探すだけで見つかるくらいにはいる。
外の魔物とダンジョンの中の魔物で戦う上で大きな違いはなかった。
ダンジョンのボアは外のボアより強いとかいうこともない。
違うのは個体差が無いことと、ヨツバが倒しても死体が残らずに消えるということだ。
聞いていたことなので特に驚きはしない。
僕達は手当たり次第見つけた魔物を倒す。
ボアは相手としてはちょうどよかった。単調な攻撃しかしてこないし、毒とか麻痺みたいな厄介な攻撃もしてこない。
目を瞑っていても倒せるような雑魚ではないので、経験値が少ないわけでも無い。多くはないけど悪くない。
この階層はウルフが邪魔なくらいだ。
「もう少し下の階層に降りようと思ってたけど、数日はここで良さそうだね」
僕はヨツバに感想を述べる
「そうね。私もちょうどいいと思う」
僕達は見つけ次第ボアとウルフを倒していき、疲れてきたので今日は帰ることにする。
「ヨツバはレベルは上がった?」
帰りながら今日の成果を聞く
「上がったよ。今はレベル12だよ」
「やっぱり上がるのが早いね。僕も1つ上がったよ」
思ったより早く目標のレベル20になるかもしれない。
気になっていることもあるので、早くレベルを20に上げたい。
ダンジョンを出るともう夜になっていた。
ダンジョンの中だと時間感覚が狂うな。
「もう夜になってるんだ。明日はもう少し早く切り上げないといけないね」
「まだ夕方くらいだと思ってたのに……。早めに出るくらいの方がいいのかな?」
「その方が良さそうだね。それじゃあ僕は帰ることにするよ。今日は何を食べる?」
「早く寝たいから、調理済みのやつを出してもらっていい?」
「わかったよ。えっと……あれ、なんだこれ?」
僕はヨツバの夕食をストレージから出そうとして、覚えの無い物がストレージに入っていることに気づいた。
「どうしたの?」
「ん、えっと……はい。とりあえずこれでいいかな?」
聞かれたけど、僕にもよくわからなかったので、とりあえず夕食を渡す
「あ、うん。それでどうしたの?」
「いや、ストレージによくわからない物がいっぱい入っててね」
入れた記憶はないし、これがなんなのかもよく分からない
「何が入ってたの?」
「魔素」
「まそ?」
「魔法とか魔物の魔の素で魔素ね。食用肉と同じで黒星が1つ付いてるよ」
魔素(★)だ。50個近くある。
「もしかしてクオンはドロップ品を手に入れてたってこと?」
ヨツバに言われて、僕もそうだと思った。
「そうかもしれない。うーん、ただの瓶にしか見えないけど……」
僕はストレージから取り出してみる。
瓶が取り出されたけど、中身は空に見える。
多分魔素が入っているのだろうけど、透明なのであるのかないのかわからない。
「それが魔素なの?」
「そうみたい。何も入っているようには見えないけど、空気みたいな感じなのかな?」
「魔素って何?クオンはわかる?」
「わからないよ。推測するなら、ダンジョンの魔物は魔素の塊なのかな?ってくらいだね。実は倒したら魔素になって霧散してるとかかな?僕の場合は自動でストレージに入るからたまたま手に入れただけで……」
「そっか。何かに使えるのかな?」
「何に使うかはわからないから、とりあえずストレージに入れておくよ。大丈夫だとは思うけど、ストレージを圧迫して他の物が入らなくなるようだったら捨てることにする」
ゲームではストレージがいっぱいになるなんてことはなかった。同じアイテムは最高でも999個しか入らなかったけど、それ以外のものは関係なく入った。
「どこかで調べれたら調べてみるから、ヨツバは気にせずに帰って休んで。僕ももう帰るから。また明日も同じ時間にね」
「うん、おやすみ」
魔素のことは保留にして帰って寝ることにする。
気にはなるけど、今日は眠い……
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