第11話 ウルフ討伐

依頼を受けて別れた後、まだ時間も早かったので、一度帰ってご飯を食べてから1人でレベル上げに向かう


スライムとゴブリン以外からは逃げるとしよう


結局スライムにしか出会わなかったけど、レベルは1上がって4になった。

スキルポイントはまだ温存する


50ポイントで回復魔法が取得できるので我慢だ。

レベル7までか…


レベル上げはここで切り上げて、街の近くまで行ってログアウトする


翌日はウルフを倒す為に森に入る


森を進むとキノコを見つけた


「クオンくん、キノコはやめておいた方がいいわ。素人には判別が難しいから。報酬はいいんだけどね…」

ニーナから忠告を受ける


「そうなんだ。ちなみに高いキノコって何かわかる?」


「採るつもりなの?私はわからないけど、ギルドで聞けば教えてくれるはずよ。でもとりあえず今日はやめた方がいいわ。触っただけで危ないのもあるらしいから」


それは怖い。ストレージに入れて確認するのもおいそれとは出来ないな


「ありがとう、触らないように注意するよ」


「それがいいと思う。ヨツバさんも気をつけてね」


「うん」


草をむしりつつ森を進む。奥に行くと強力な魔物も出るらしいので方向に注意しながらウルフを探す


歩いているとちょうど群れから離れたのかウルフを1匹だけ見つける


僕はゆっくり近づいて火魔法で攻撃する


火魔法が弱点なのか、1発で倒すことが出来た。


しばらくしてウルフは消える


アイテム欄を確認するとウルフの毛皮が入っていた。


僕は毛皮を取り出して2人に見せる

「これが今倒したウルフだよ」


「本当に肉はないの?」


「ないよ」


「そっか」

ニーナは残念そうだ


「なんかごめんね」


「いいわよ。それにこんなに状態がいい毛皮見たことないから高く買い取ってくれそうだし。火魔法で倒してたのに焼けた跡がないのが不思議ね。昨日言ってた意味がなんとなくわかったわ」


「怪しまれると思う?」

状態が良すぎるのもあまり良くないかも……


「ギルドの人は不思議に思うだろうけど、守秘義務はあるし問題ないと思うわよ」


「そっか」

売らないことにはお金も手に入らないしそこは諦めるか


「引き続き探しましょ。クオンが魔法で1撃で倒せるなら群れでも大丈夫そうだし」


「そうだね」


引き続きウルフを探す


見つかる草は毒草が多かった。薬草もあったけど、大体は毒草か雑草だ。

薬草を探すなら森に入らない方がいいかもしれない


次に見つけたウルフは4匹で行動していた。


ニーナとヨツバが牽制している内に、僕がこっそり回り込んでファイアーボールを打ち込む

今同時に撃てるのは2発までだ


ゲームの時と同じでDEXを上げることで発動数を増やすことが出来た。


打ち合わせ通りの2匹に命中して倒す。

残り2匹が動揺している間にニーナとヨツバが攻撃する


ニーナは問題なかったが、ヨツバにはまだ倒し切るには荷が重かったようだ。

ニーナが1匹倒した後に、手を貸して倒すことが出来た


「ニーナさん、ありがとう」


「怪我はない?」


「大丈夫、ちょっと怖かったけど」


果物ナイフを持って大きい野犬と戦うようなものだ。普通の女子中学生なら怖くて動けなくてもしょうがない。

そう思うとヨツバは倒せなかったけど、すごいと思う。


僕も近接戦をすると考えると少し躊躇する


「お疲れ様、なんとかなったね」


「ごめんね、私だけ足引っ張ってるよね?」


「そんなことないよ、戦えるだけすごいよ。それに戦えるならレベルが上がるから、すぐに倒すことが出来るようになるよ」


「でもクオンもニーナさんも1人で倒せるでしょ?私いなくても関係ないんじゃないの?」


「それは違うわよ。ヨツバさんが居なかったら私は1人で2匹同時に相手にしないといけなかったのよ。クオンくんの言う通り、戦うことが出来るなら問題ないわ」


「僕達の育った環境を考えればヨツバは戦えるだけすごいと思うよ。僕は離れた位置から攻撃してるけど、ヨツバは違うでしょ?僕が同じこと出来るか聞かれたらすぐに出来るとは言えないよ。怖くて当たり前だから」


「でもニーナさんも短剣で倒してたよ?」


「ニーナとは育った環境が違うんだから比べたらダメだよ」


「うん、頑張る」


「とりあえずちゃんとした剣を早く買おうか。ニーナもだけど…。そもそも間合いが近すぎるのがいけないと思うから」


「そうだね、1日の報酬も増えると思うから頑張ろうか」

ニーナと2人でヨツバをもちあげる


「ありがとう」


2人が倒したウルフを回収する。


「僕が倒したウルフ、今回は毛皮と肉だったよ」


僕は肉を取り出して見せる


「これ、本当にウルフの肉?」

ニーナが怪訝そうに聞いてくる


「いや、肉だね。なんの肉かはわからないけど、食用ではあるよ。見た目はすごくおいしそうだよ。牛肉みたい」


アイテム欄での名称は食用肉(★)だった。食用以外の肉もあるのだろうか?

★は何だろうか……レア度かな?


「なんで食用ってわかるの?それと“ぎゅう”ってなに?」

ニーナに聞かれる。この世界に牛はいないのかも知れない


「持ってるアイテムは名称がわかるんだよ。この肉は食用肉かっこ黒星って名前だよ。黒星が何かはわからないけど、僕の感覚では星の数が増えるほどいい肉ってイメージだけど……牛肉は僕達の故郷でよく見た肉だよ。気にしないで」


同じ食用肉でも弱い魔物から手に入るものと強い魔物から手に入るもので分けてあるのではと思う


「それは便利ね。鑑定スキルみたい。」


「鑑定スキルだと何がわかるの?」


「私は使えないからよくは知らないけど、名前と詳細が見えるらしいよ。魔物の強さとかもわかるみたい」


「それは便利だね。それと比べたら全然だよ」


「でも薬草を見つけるのが早い理由がわかったわ。1人だけズルしてたのね」


「はは、バレちゃったか……」


「まあ、そのおかげでもうFランクになれたしいいけどね。」


「それで、この肉はどうする?流石にギルドに買い取ってもらうのはまずい気がするんだよね……」


「私もそう思うわ。毛皮とは訳が違うもの。別物だし」

ニーナも同じ考えのようだ


「私達で食べましょうよ。美味しそうだし……お肉食べたい」

ヨツバは食べたいらしい。見た目牛肉だけど、得体の知れない肉なのに……


「私はどうしようかな……」

ニーナもよくわからないものを食べるのは抵抗があるようだ


「とりあえず、僕が食べてみるよ。僕が食べれるって言ってるのに自分が食べないのはアレだからね」


流石に生で食べるのは抵抗があるし焼きたいな


「街に戻ってからにしようか。流石に生はダメな気がする」


「宿屋の厨房を貸してもらいましょう。今から楽しみだわ」

ヨツバのテンションがおかしい気がする


「ヨツバ、普段何食べてるの?」


「え、えっと……硬いパン?と薄いスープかな」


「ニーナは?」


「同じだよ。たまに贅沢して屋台で肉串食べるけど……」


「え、そうなの?私ニーナは毎日あのパン食べてると思ってたよ」

……なんかニーナの裏切りが発覚したようだ


「たまにだよ、たまに。私もお金ないから……。」


「……そうだよね」

2人して落ち込むのはやめてほしい


「2人とも元気出して。この肉が美味しければ今後は肉食べ放題だよ。どうせギルドには売れないんだから」


「そうだよね。売れなくてよかったよ」

ヨツバがそんな事を言う。よくはないけど……売れたら、食べずにお金に変えるだろうから良かったのかもしれない。


その後、ウルフを1匹と5匹の2回戦って計6匹を倒して早めに終えることにした。

ウルフは同時に4匹までがいいかもしれない。

5匹でも倒せたけど、少しの間ニーナが2匹を1人で相手するので少し危ない。


今日の成果はウルフ11匹討伐して、ウルフが5匹と毛皮が3枚、肉が3個だった。

それと、毒草が62本と薬草が20本。

薬草20本の依頼は、森の依頼と同時に受けない方が良さそうだ。


ギルドに戻って買取に出す


「ウルフ5匹と毛皮3枚と毒草と薬草だな。なんで3枚だけ毛皮があるんだ?残りはどうした?」

どうしようかな……今後も使う事を考えると正直に言った方がいい気がする


「僕のスキルの関係で毛皮しか手に入らなかったんです。詳しくは秘密です」


「……そうか。毛皮の状態が良すぎるのもそのスキルの影響か?」

やっぱり良いみたいだ


「はい、そうです」


「言いたくないなら無理には聞かねえよ。俺は正規の金額で買い取るだけだ。悪い事してる訳じゃないならそれでいい。」

このおじさんが買取担当でよかった

柔軟に対応してくれたな


「悪い事はしてませんよ。ちゃんと倒したのはギルドカードでわかりますし」


「疑ってるわけじゃねぇよ。査定してやるからそこで待ってろ」

少し待った後、買取証明書をもらう


受付に行って報告をする


今日の報酬はウルフ討伐が11匹で銅貨5枚と銭貨5枚

ウルフの買取が5匹で銀貨1枚、毛皮が3枚で銅貨9枚だった


普通、ウルフの毛皮は1枚で銅貨1枚とのことなので、通常の3倍の価格での買取になっていた。


草が全部で銅貨5枚と銭貨1枚なので今日の報酬は全部で銀貨2枚と銅貨9枚、銭貨6枚だった。296Gだ。1人約100Gなら悪くはないと思う。

これとは別で肉も手に入っているし


2人に銀貨1枚ずつ渡す。


「結構、多いね。ウルフ1匹よりも毛皮1枚の方が高く買い取ってくれたのはラッキーだったね」

僕は2人に言う


「昨日、ウルフ討伐やめないでよかったわ。レベル上げにもなるし、明日もウルフにしようか?」


「賛成!肉を所望します」

ヨツバのテンションが高いままだ。早く焼かなければ持たないだろう


「宿屋に行って焼こうか。僕も使っていいのかな?」


「泊まらなければ、部屋に入るくらいはいいと思うわ」


「そっか、じゃあその為に部屋は借りなくていいね」


僕は2人が泊まっている宿屋に向かった

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