アライさん無限増殖バグ

てんてん

第一話 終わりの始まり

"1"


「アライさ〜ん!待ってよ〜」


「フェネック急ぐのだ!あのイノシシは絶対捕らえるのだ!」


アライさんとフェネックの2人は平原地方で狩りをしている最中だった。


獲物は体長3メートルにもなる化け物サイズの巨大イノシシ、簡単に倒せる相手ではない。


「アライさん危ない!突進してきてる!」


「フニャ!?」


ドスンッ!!


アライさんの体に重く強いイノシシの一撃が入った。それと同時に、ものすごい勢いで土煙をあけながら吹っ飛ばされた。そしてイノシシは林の方へ逃げていった。


「や、やられたのだ...」


「アライさん大丈夫〜、だから待てって言ったのに〜」


「アライさんは大丈夫なのだ。それよりイノシシは!?」


「逃げてったよ。今日は日が暮れそうだし捕まえるのは無理そうかな〜、図書館に戻ってまた策を練り直そうか」


「ぐぬぬ、アライさんのせいで...明日は絶対捕まえようなのだな!フェネック!」


「そうだね、アライさん」


そう言うと、2人は行動拠点にしている図書館に向かって歩き出した。

図書館というのはジャパリパークに関する本がたくさん集められた場所である。

アライさんとフェネック以外に島の長とその助手が住んでいる。


スタッ スタッ

 ハァ ハァ ハァ


「お腹空いたのだ、干からびたアライグマになってしまうのだ」


あれからしばらく歩いた。辺りはすっかり暗くなって鬼のように綺麗な星空が見える。

そんな中アライさんは空腹を呟いていた。


「もうすぐだよアライさん、クッソうまいジャパリまんを食べようね」


「うむ、頑張るのだ。グルメは目と鼻の先なのだ。」


ゴッ!


「痛ッ!?」


ドサッ!


その時だった。

アライさんが何かに足を引っ掛けた。


「いきなり何なのだ」


「アライさん!」


フェネックが心配そうに走ってきた。

アライさんの足もには紫色の玉と紙のようなものが落ちていた。

アライさんは起き上がってすぐにその玉を拾い上げた。


「こんな場所に...危ないのだ。この触り心地は水晶なのだな。くんくん、匂いは特にしない」


アライさんが冷静に、この玉が何なのか分析していると...


カァッ!!


一瞬、玉がすさまじい光を放った!


「ンニャッ!?何だこの光は!?フェネックは!?フェネックは!?」


「後ろにいるよ、アライさんどうしたの?そんなに暴れて、お化けでも見た?」


「今この玉がピカピカしたのだ、ものすごく!もしかしたらパークの危機かもしれないのだ。」


「ピカピカ?」


玉が光った様には見えなかったフェネックは頭に?マークを浮かべた。そして、ソレと一緒に落ちてた紙に目をやった。


「アライさん、この紙に書いてあったりしないかな?ソレの正体」


「ん?何それ?なのだ...」


アライさんは顔を近づけて文字を読んだ。


"カ ミ サ マ ボ ー ル"


トキの歌のようにめちゃくちゃにその文字は書いてあった。










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アライさん無限増殖バグ てんてん @shirobuta_akys

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