雨音~僕らの刻む足跡~

汐風 波沙

プロローグ

雨音の響くバス停を一本の傘を持って歩いたあの日以来、僕らの関係性は変わった。

「ねえ、本当に私でよかったの?」

そんなこと決まっている。

「君以外ありえないとやっと思い出すことができた。だから、僕は君とこの道を歩いてきたいと思ったんだ……」

「そっか……」

隣にいる彼女は少しだけ頬を赤く染めた。

「私、初めてだから、上手く出来ないかもしれないよ?」

「大丈夫、僕も実質初めてのようなものだから、心配しないでいいよ」

「わかった……」

そんな会話をしながら、僕らは彼女の家に向かった。










数時間後……

俺は脱ぎ散らかしていた制服を着始めた。

「あれ、もう帰っちゃうの?」

「ああ、長居しても悪いかなって思ってな……」

「そっか……」

会話をしながらも、俺は少しずつ服を着ていった。

「さてと、服も着終わったし帰るよ……」

「待って、玄関まで見送るから、服を着るからちょっと待って」

「わかった」

俺は、ドアの前に立ち彼女が服を着るのを待った。

「なんで、そっち向いてるの?」

「えっ⁉」

「だって私たち付き合ってるんだよ?」

「いや、それでも見るのは……」

「もう、あの行為もヤった後なのに?」

「……」

それを言われると何も言えない……

「まあいいわ、服着たから玄関まで見送るわ」

俺は振り返って彼女の方を見た。

彼女は服をワイシャツのみを着て……

ん?

「なんでワイシャツ1枚なんだよ!!」

しかも、第3ボタンだけを閉めていて、胸元と足がしっかりと見えている。

「別に外に出る訳じゃないし、いいじゃない……」

彼女はそのまま俺の横を通りドアを開けた。

俺もその後ろをついて行き、玄関まで降りた。


「じゃあまたね、裕太ゆうたくん」

「うん、また月曜日な、川添かわぞえさん」

「何で?」

「いや、何が?」

「だから、付き合ってるのに、何で私の呼び方は名字なの?」

「……」

そんなの、

とか考えているんでしょ?」

「何でわかった!?」

「そんなの、好きな人の考えていることくらいわかるわよ」

「嘘が付けないな、これは……」

「まあ、浮気なんてやったらどうなるかわかってるわよね?」

「も、もちろんだとも……」

ーー怖くて浮気なんて出来そうにないな

「じゃあ、また月曜日な」

「な、ま、え!!」

「……」

はぁ、恥ずかしくて言えねぇよ

「ーーまたな、千雪ちゆきっ!!」

「ふふんっ♪またね、裕太っ!!」

僕はドアを開けて川添家を後にした。
















雨の中、俺は傘をさして歩く。

雨音が心地良いのは、いつ以来だろう。

「もう僕の心は雨模様じゃないけど、雨の日はやっぱり悪くない」

こうして、僕の物語が始まった。















________________________

(あとがき)

皆さんこんにちは、こんばんは汐風波沙です。

本日はですね、ついに始まりました、『雨が降っていますが私と結婚しませんか?』の続編パートであり、カクヨムルートである『雨音〜僕らの刻む足跡〜』の公開です!

更新自体はめちゃくちゃゆっくりなので、良かったら、気長に待ってください。

以上、汐風波沙でした〜!

また次の更新で〜!

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