第61話 リンとのお茶会

「それでね、赤フードの冒険者さんが、私の家の冒険者さんたちを助けてくれたの!」


 リンの家、アルトバルト家の庭で、私は久しぶりにリンとお茶会をして和んでいた。


 今回の事件はさすがに焦った。まだ色々気になることはあるが、少しは休ませてもらわないと身体がもたない。


 ということで、今日はのんびりしている。


「赤フードの冒険者さんも、私の家の冒険者さんになってくれないかなぁ。他の人たちもみんな感謝しているし」


 親友を雇おうとするのはやめてください。


 しかし、今回は透明化時を含まなければ、リンと直接会うことはなかったから、恋愛フラグは回避できたようだ。


』エルスやアルメダのように、ちょっと怪しい関係になるのは避けたい。


「キリナは赤フードさんに会ってみたい?」


 何度でも言うが、私の本名は赤フードではなく、キリナ・エルバルクである。


「そうだなぁ……私は別にいいかな」


「そうなんだ。なんだかキリナとは気が合いそうな人だと思ったんだけどな」


 リンはある意味では鋭いところを突いていた。


 気が合うどころか、本人であるのだから。


 やはり、直接会うのは今後もやめておいた方が良さそうだ。


 赤フードで隠しても、見破られそうな怖さがある。


「はぁー。それにしても、久しぶりにゆっくりできて、私は幸せだよー」


 しばらく冒険者稼業は控えたいところだが、依頼は次々やってくるのが現実だ。


 また数日すれば、私向けの依頼も持ち込まれるだろう。


「キリナ、最近疲れてるよね。何してるの? この前、家に行った時もいなかったし。そういえば、あのあとギルドで透明化した赤フードさんに……」


「いやいや! 最近は町の外で珍しい花を観察することが趣味でね!!」


 何も言ってないのに、リンが真相に近づこうとするので、私は必死に話題を逸らした。


 本当にリン相手は油断ができない……。

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