第9話 最強の赤フード、その所以。

 三体の紫獣人が牙を向いて、私を威嚇する。


 だが、そんなもので怯える時期はとうの昔に過ぎた。


 私は素早く相手のレベルをチェックする。


 左から50,55,58LV……アルレアが相手をしている個体よりもさらに強かった。


 どうやらこちらが本命らしい。


 人間にはレベルの概念は存在しないが、王国騎士たちが対処できるモンスターのレベルは50LVが限界だと言われている。


 集団で戦って、ようやく倒せるという意味なので、その点では一人で40LVと渡り合うアルレアは間違いなく強い。


 けれどこの数と強さは手に負えないだろう。



 ーーだから、私が働く番だ。



 私は戦闘を開始した。


 スキル『背後奪取』を発動。次の瞬間には、50LVの紫獣人の背後に瞬間的に移動していた。


 短距離の空間跳躍を可能にするスキルだ。


 そのままスキル技『獣殺しビーストスレイヤー』を発動し、背中を大きく斬りつけた。


「ウガァァァァ!!??」


 紫獣人の絶叫。私がつけた切り傷は自然に発火し、獣人の身体を焼いていく。


 その動揺と混乱の隙にとどめをさした。


 獣系にだけ効くスキル技だが、限定的すぎて、採用している冒険者は見たことがない。


 しかし使ってみれば、ちゃんとした効果を発揮してくれる良いスキルだ。


 残りの紫獣人二体がタイミングを合わせて襲ってくる。が、二体とも私が触れる前に攻撃が止まった。


 魔法スキル『透明障壁』は、私の周りに見えない壁を一定時間作る。


 私はゆっくりと近づいていって、紫獣人たちを見つめる。紫獣人たちは本能的に恐怖を顔に浮かべていたけれど、ここで見逃してあげることはできない。


 スキル『次斬撃威力10倍』を発動。発動後、最初の斬撃の威力を10倍にする効果だ。


 私は剣を強く握り、横に一閃。


 二体を同時に斬り倒す。


 そうして、三体の紫獣人は一瞬のうちに片付いた。

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