第二十一話☆塩




途端にスピードがゆっくりになり、高度が下がり、足が地面につく。


「……ぁ…ぅん。」


声がすっごい掠れる…。あれ?2時間も飛んでたのかな?体感時間だと、確かに長くは感じたけど、2時間は経っていない気がする。


「ふふん!超高速レア号の乗り心地はどうだった?とっても早く着いたでしょう?」

「え、じゃあ、普通に走って行くって言う手段もあったの?」

「もちろん。でも、30分くらいで着くからこっちの方がいいでしょう?」


え、走る方が良かったんですけど…。


レアが私にキラキラとした目を向ける。褒めて褒めて?と言うかのように。


「ウン、タノシカッタ。」

「そうよね?やっぱり?あ、リリィ何か叫んでるみたいだったけど、楽しくて興奮しちゃったのよね?」


「ウン…。ソウカモ。」


分かったことは二つ。


一つは、何気なく聞いてたけど、時間、分と言う概念があって、体感的には多分同じってこと。

1週間が7日なのかはまだ、分からないけどね。後で聞いてみよう。



もう一つは、帰りも超高速レア号になりそうってこと。


いや、あのキラキラした目を向けられたら断れないもん。慣れるしか無いな。まぁ、酔ったりはしなかったから、衝撃にさえ耐えれば大丈夫。多分。


「ちなみにレアは何の魔法使ってたの?空を飛ぶ魔法?」

「あら、違うわ。あれは後ろに向かって風魔法をぶっ放してただけよ。5級魔法のとっても弱いやつなんだけど、死ぬほど魔力を詰めればあんな風になるのよ。」

「へぇ〜、そうなんだ…」


もう、いっか。ちょっと、いやかなり怖かったけど、早く着いたし。


その時、フワッと風が通り、潮の香りがした。


そっか、私海に来たんだ。


目の前には太陽の光を反射し、キラキラと輝く広大な海が広がっていた。


両手を広げ、体全体に潮の香りが行き渡るように深呼吸する。少し凝り固まっていた体をグイッと伸ばす。


「ん〜!海だぁああああ!よぉし!早速塩作りするぞ!」

「おー!」


本来ならば何日も掛かるであろう塩作りも、多分すぐに終わるだろう。だって、魔法があるから!


「えっと、レア!バケツ作って!」

「分かったわ!」


レアが木で作ったバケツに火炎耐性の魔法をエンチャントし(レアが)、海水を入れ、グツグツ煮詰める。


だんだん水分が飛ばされていき、底には塩だけが残った。


後はこの作業の繰り返し。


小1時間ほどでかなりの量の塩を作る事ができた。


異世界、魔法万歳!!!

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