第2話 ヴィクトリア・ハートカズラ

 医療・人道救助団体設立初期メンバーの中で最初に出会った人物はヴィクトリア・ハートカズラ。前髪のない赤毛のツインテ―ルで赤色のツリ目をした少女である。意外にもエイルが見学したあの時の依頼で出会っていた。依頼者の名前を知った時から話を始めていこう。


 村の北口から出て、歩いて30分程度。藁で作った質素な家が10程ある集落が見えてきた。


「ここゴブリンの里だな」


 滅多に山の方に行かないエイルにとって、久々に見た光景である。


「あ。こっちに来た」

「だいぶ慌ててるが何があった」


 緑色の肌をしている1人の男性が来ている。ゴブリンらしき大人が慌てて、エイル達の所に駆けつけてくる。焦った印象を持つ。何かがあったと考えて良さそうだ。


「あんたたちか。依頼を受けた冒険者は」

「ええ。そうですが、何かあったのですか」


 今回のリーダーであるルーカスが答える。


「あんたたちは慌てねえのか!? 依頼者はあのドラグ王国の4大貴族のハートカズラ家の娘だぞ!?」

「え!?」


 依頼の紙には依頼者はただ女性魔術師と書かれていただけだ。ドラグ王国にいる強大な権力を持つ4つの貴族の内の1つの娘だと思ってもみなかった。予想外の事で全員が驚く。


 ゴブリンは庶民以上に立場が弱い。経緯があって、人間との契約を交わしているため、静かに暮らすだけで精一杯である。しかしこれだけで焦るものなのだろうか。エイル達は疑問を持つ。


「そりゃ4大貴族の娘が依頼者なら僕達は慌てるだろうけど……あなた達が慌てる必要ないはずでは」


 すぐにルーカスが尋ねる。


「普段ならそうだろうさ。でも今回は俺らゴブリンが悪い。何人かが急に変になって、野菜を届けに来ていた人間の女3人を拉致したんだよ!」


 依頼内容の細かい部分が出始めていく。切羽詰まって、雑な文章になったようだ。


「操った犯人がいると考えて良さそうね」


 ソフィアの考えは正しい。ゴブリンは誠実な者が多い。そして魔法魔術に対する耐性がなく、操られやすい種族に入る。


「恐らくそうだろうね。しかし……これメリット、あるのか?」


 ルーカスの疑問は最もである。この世界のゴブリンは男しかいない。子孫を残すためには他の種族の女性に頼るしかない。どのような種族の女性から生まれたとしても、ゴブリンにしかならない。そして数は多い。村を襲って、女性を攫って、子孫を増やす。野蛮極まりないものだ。


 ただ良い方向に考えると、力仕事の労働者を増やしやすいメリットがある。それに気づいた人間側は契約を交わした。互いに気に入った力のあるゴブリンと人間の女性が結婚したりする内容である。たまにゴブリンの労働者が来て、働くケースが多々ある。その報酬として、麦や野菜などを貰う事が出来る。


 互いにメリットのある契約を破棄したら、全体の悪影響もあるが、その犯人の立場が怪しくなるはず。マジでやるメリット無しだ。


「これだけは言える」


 このゴブリンの集落で最も力のあるゴブリンがやって来た。身長も横幅もある。魔力が多い。彼は集落の長の立場を持つ。


「今までの信頼関係が無くなるのもあるが、被害者の彼女3人が傷つく危険性がある。今はまだ魔術師が抑えているはずだ。行け。間に合って救ってやれ」

「はい!」


 ルーカスの返事に集落の長が笑う。


「良き返事だ。行ってこい」

「その前に1つ頼み事をしていいか」


 エイルが右手をあげる。ルーカス、ウッド、ソフィアは横に傾げる


「ああ。私達が出来る事ならな」

「最悪のケースが出て来る可能性もある。教会にいるシスターを3人ほど、こちらに来てもらえるよう、伝えて欲しい」


 ひょっとしたら、あの行為をして、トラウマになりかねない。ゴブリンと接する事が出来ないだけならまだ良い。下手したら、家から出る事すら出来なくなる可能性がある。それを少しずつ改善しなくてはいけない。助けた段階からやり始めた方が良いだろう。それがエイルの考えである。


「ああ。分かった。すぐに実行しておく」


 意外に察しの良い長である。


「助かる。先輩。行こう」

「分かった。全速力で行こうか!」

「了解」

「ちょ!?」


 ルーカスはひょいっとエイルの襟を掴み、器用に抱える。まさかの姫様抱っこである。女性なら大喜びのシチュエーションだが、生憎エイルは男だ。あとで腹パンでもしてやろうと決意している間に風圧を感じる。出発したのだ。全速力はとんでもなかった。体感で5分程度。ぼーっとしてる間に洞窟の入り口に着いた。


「よし。着いた」


 エイルは下ろしてもらってホッとする。しかしそれは一瞬だけだ。


「僕とウッドは前に。後ろはソフィアとエイル。それでいいな」


 洞窟に入っていく。用意していたランプが照らしてくれてるお陰で前に進められる。


「ハートカズラ家の魔力、大きいから分かりやすいな」

「それ」


 ルーカスの一言に、エイル達は縦に頷く。ここの洞窟は複雑でない事と依頼者の魔力が膨大である事で、楽に進められていた。


「ここにいるわね」

「依頼者ね」


 依頼者のハートカズラ家の娘も感知していたようだ。赤毛がちらりと見えている。姿を現した。前髪のない赤毛のツインテール。赤色のツリ目。動きやすい赤色のジャケットと茶色のズボンとブーツ。突っ込みはしないが、貴族の娘とは思えない格好である。


「初めまして。ドラグ王国4大貴族の1つ、ハートカズラ家の次女のヴィクトリア・ハートカズラよ」

「ヴィクトリア?」


 ソフィアの声が震えていた。


「ドラグ王国唯一の魔術学院をたった3年で卒業したと言う伝説の?」


 ドラグ王国にある魔術学院は6年制である。そして留年が当たり前だ。ストレートで卒業出来る事も凄いが、3年で卒業出来ている。恐ろしい技量を持つ少女である。


「3年で卒業したのは否定しないわ。でもその話はあとで。依頼の話をしましょ。こっちに来て」


 羊皮紙には洞窟の全体が描かれている。奥の広い空間に8つの緑色の点、3つの白い点が光っている。薄く紫色で塗っているように見える。


「今の所、あれの行為はしてないはずよ。本当は救出したいところだったけど、この人数だと私も被害者になるから、これが精一杯で」


 ヴィクトリアは悔しそうに言った。


「知らせてくれただけでもありがたいです。遅かったら、甚大な損失になっていましたから。それで今は何をなさってるんですか」


 ルーカスが紳士的に接していく。


「幻術よ。あれをやってるって思わせるぐらい現実を見せてるの。あとは彼女たちの監視」


 エイルは鞄から魔力回復薬が入っている瓶を取り出す。


「これを飲め。暫くはこれで保てるか」

「え……ええ。大丈夫よ」


 ルーカスはエイルとヴィクトリアのやり取りを見て、判断をする。


「君たちはこのまま継続してくれ。僕達で救出に向かうよ。報告は彼女の魔法で行う」

「待て。先輩、投擲得意か?」


 エイルの言葉を聞いて、ルーカスはあと少しでズッコケするところだった。


「いきなり何聞いてるんだ!? ある程度は出来ると思うけど」


 突っ込みを入れながら、答える。


「それならこれも使え」


 布のケースを投げる。ルーカスは慌ててキャッチする。中身を見る。鋭いナイフがズラリ。明らかに手術で使う奴である。嫌な考えが脳裏によぎる。恐る恐るエイルに聞いてみる。


「えーっと? ひょっとしてさ……目潰しで使えってことかい?」

「ああ。その察しの良さ、最初から発揮しろよ」


肯定した。しかしこれは危ない発想である。と言うか。


「君治癒魔法の使い手なんだよね!?」

「ああ。だからこその提案だ。治癒魔法の使い手がいるからこその手段だ」


 目潰しとなると、最悪視力低下どころか失明してしまうリスクがある。ただ治癒魔術に眼球と神経もろともの傷を癒すものがある。時間がかかり、膨大な魔力を消耗するが、それほど難易度の高いものだ。高度な術も使えるエイルだからこその提案だ。


「勘違いするなよ。これは最悪で最終手段だからな。出来るだけ傷つけさせない方が良いのは俺も同じ考えだ」


 とは言え、倫理的にアウトな戦法だ。エイルもそれを知っている。なので念を押す。


「……分かった。最悪の場合、使わせてもらうよ! 行くぞ!」


 ルーカス達3人は奥に。ヴィクトリアは幻術と監視の継続。エイルは魔力回復薬をヴィクトリアに渡す。実質待機である。そのためか、ヴィクトリアから話しかけられた。


「あなた真っ白なのね。でもダイヤ家の見た目でもない。変わってるわ」

「こういう見た目は稀にあるんだ。覚えておけ。4大貴族の真っ赤な娘さん」


 見た目に関しては言われ慣れている。エイルは皮肉たっぷりに言ってみた。


「そうね。覚えておくわ。ガレヌス先生の可愛らしいお弟子さん」


 思い切り返された。ただ意外な返答でもあった。


「……知ってたのか」

「ええ。知ってたわ。お母さまが世話になったもの。だからある程度は知ってた」

「そうか」

「ねえ。ガレヌス先生の弟子なら、いくらでも仕事場なんてあるでしょ? 何で冒険者と一緒なのよ」


 ヴィクトリアの疑問。エイルの事を少し知っている人なら誰でも浮かぶものだ。


「先生の付き添いで災害を見た。1人だと救えない。治癒魔法の力だけでは救えない。国でも救えない。それを実感した。だから作ろうと決意した。国関係なく、人々を救う組織の設立をな」

「そ。それって素敵じゃない?」


 意外な反応だった。救うだけならずっと冒険者でいいだろと返されるケースが多かったからだ。物語でも大体は英雄=冒険者と扱われている。


「お前の頭、お花畑か? 英雄になるなら、ずっと冒険者で良いのが一般説だろうが」


 初対面尚且つ4大貴族の娘相手に失礼な発言である。


「あんた初対面に対して失礼過ぎじゃない!? まあそれが一般的でしょうけど。あ

なたが言ったじゃない。1人だと救えないって。周りの連中が理解してないだけよ」


 一瞬だけキレた後、冷静に言っている。意外にこのご令嬢、冷静である。


「私だってそうよ。1人じゃ出来ない。昔も今も。だから急いで救援を呼んだの。気持ちは……分からなくもないわ」


 語尾が弱い。顔が赤い。どうやら素直じゃない所もあるようだ。エイルはそう感じ取った。それと同時に何か過去にあったのだろうと、表情を見て察した。


「そうか。話をか」

「あ。ちょっと待って。報せが来たわ」


 話題を変えようとした矢先、救助しに行ったルーカス達から報告が来た。ヴィクトリアが折りたたまれた紙を読む。


「おい。何があった」

「救助は成功。ゴブリンにかけられてた魔法魔術の効果の解除成功。やったわ! 成功したのよ!」


 どうやら作戦は成功したらしい。嬉しそうな顔なので、疑いようがない。


「行きましょ。でも念のため、もう一度魔力感知使うわ」

「冷静だな。お前」

「あなたもでしょ。……確かに解除されてる。あの魔術師、やるじゃない」


 魔力感知は冒険者になった魔術師の必須項目だ。それでも大体はお粗末なものだが、彼女のあれは本物だ。本当に魔術師としてのヴィクトリアの腕は高い。仲間として欲しいなと思いながら、奥に向かう。


「あ。来た来た」


 洞窟の奥は広間のようになっている。全体を見渡す。前衛を務めていたルーカスとウッドは傷だらけだが、致命傷ではなさそうだ。ソフィアは魔力回復薬を飲んでいる最中。


「ごめんなさい! ごめんなさい!」

「あなたたちが悪いわけじゃないでしょ!?」


 意外に心のケアが必要な者はゴブリンだったようだ。必死に人間の女性3人の前で土下座している。


「ソフィアさんが言ってたでしょ。強力な何者かが操ってたって」

「あーこれ暫く無理臭い」


 と女性3人がどうにか宥めようとしているようだが、失敗に終わっている。女性3人を観察する。縄の跡が残っている以外は何もなさそうだ。


「良かった。あなた達、無事だったのね」


 一番心配していたであろうヴィクトリアは女性3人に話しかける。


「魔術師様、ひょっとして4大貴族の」


 見た目で気付いていたらしい1人が言った。


「ええ。ハートカズラ家の次女、ヴィクトリアよ」


 3人はヴィクトリアの前で土下座をする。彼女はドン引きして後ろに下がる。


「助けていただきありがとうございます! この御恩、いずれ!」

「ちょ!? 私1人だけじゃないんだけど!? 冒険者達がいたから早めに救出出来たのよ!? だから彼奴らにも感謝の言葉を言いなさい! これは命令じゃなくて……その提案よ提案!」


 彼女の頬が赤い。滅茶苦茶慌てた感じで言っていた様子に、ルーカス達は思わず吹き出す。


「そこ! 笑うな!」


 未解決の点はあるものの、女性3人を救出し、ゴブリンがかけられていた魔法魔術を解除出来たため、任務は終了。ゴブリンの里に戻り、ケアが必要なゴブリンは長に任せ、女性3人と一緒に村に戻る。この時にエイルが貸していたナイフが戻ってきてる。


 無事に女性3人を家に送り届けた後、ギルドに入り、依頼者であるヴィクトリアから報酬金を受け取った。


「うわー……良いんですか? こんな大金」


 贅沢しなければ、1カ月は食い物に困らない金額だった。平民なら願っても早々ないものだ。その事もあってか、ルーカスはそーっと金貨が入っている袋を受け取っていた。


「当たり前でしょ。ベストな状態で依頼達成したんだから! それと追加報酬もするわ。時間帯を考えると、夕食でしょ。酒場で奢るわ」

「いやいやいや!?」


 あまりにも豪華な報酬のパレードで、ルーカス、ウッド、ソフィアは大声を出す。エイルは太っ腹な女の子だなと呑気に脳内簿記をしている。


「恐れ多いですって!?」

「私が良いって言ってるんだから遠慮はいらないわよ? あ。そこの店主、メニュー表あるかしら」


 いつの間にか、ヴィクトリアは酒場の席に座っている。エイルは彼女に倣って、右隣に着席。


「エイル、君も何か言ったらどうだい?」

「どうだいと言われても、あれは早々聞かないぞ。お前たちも観念した方が良い。無駄にエネルギーを使う羽目になる」


 ルーカスの問いにエイルは淡々と答えた。ちゃっかりメニュー表を見て、頼んでいた。


「分かったよ……行こう」


 そんなこんなでちょっとした打ち上げ会が始まった。酒を飲める年齢であるルーカスとウッドとソフィアは発泡酒を頼む。エイルとヴィクトリアはりんごジュースだ。


「それじゃお疲れ様」


 硝子の鳴る音がギルドに響き渡る。他の冒険者と受付嬢からの視線が痛い。


「……私の事気にする必要ないのに」

「4大貴族のお嬢様だからな。お前。少しは自覚しとけ。これ食うか」

「ええ。頂くわ」


 お腹が空いているため、気にしている場合ではなかった。貴族の娘だから所作は美しいが、食べるスピードが速く、量がとてつもなく多い。腹に何も入れてなかったようだ。


「メッチャ食うなあのお嬢様」

「多分ヴィクトリア様、見つけた時からずっと魔力消費してたんだと思うわ」


 ウッドとソフィアが話す。エイルはヴィクトリアの事を優秀な魔術師で、4大貴族の娘ぐらいの認識しかない。魔術学院の生徒だったらしいソフィアに聞く。


「ソフィア。彼女の事を伝説だと言っていたが」

「ええ。ただ私は噂程度しか知らなかったのよ。魔術学院は留年当たり前。ストレートで卒業出来るのは極僅か。3年で卒業はもう次元が違うわ」

「実践して経験を積めばいいじゃない」


 ここでヴィクトリアが話に混ざって来た。


「今のあなただって、高い技術が求められるものを出来てるじゃない。冒険者でも良いし、研究でも良いのだけど、とにかく経験を積めれば、いずれ伝説になる。伝説級の魔術師ってね。魔術学院出てないケースだってあるの。どれだけ鍛錬出来るのかが大事だと私は思うわ」

「ヴィ……ヴィクトリア様」


 ソフィア、ちょっと泣きそうだ。目が涙でウルウルしている。


「ま……まあ今のは私の魔術師の先生の受け売りなんだけどね?」


 ソフィアの反応を見て、そっぽ向いた。恥ずかしいのかもしれない。


「良い先生に恵まれたんだね」


 ルーカスはニコニコとしながら言った。


「否定しないわ」


 先生の事が褒められたと思ったのか、ヴィクトリアの口元が緩んでいる。


「お待たせしました。フィッシュ&フライ、持ってきたよ!」


 その後は全員分の料理が来たため、静かな食事になり、ある程度食べた後、エイルは話しかける。


「ヴィクトリア・ハートカズラ」

「何?」


 ヴィクトリアはリンゴジュースを口に入れる。


「何も組織に入っていないのなら、俺の救助団体のメンバーになって欲しい」


 予想外のエイルの言葉に、ヴィクトリアは思い切りむせる。さっきよりも厳しい視線を感じるが気にしてる場合ではない。


「ゲッホ!? いきなりね!?」

「確かにお前にとっては急だろうな。だがこの考えは洞窟にいた時からあった。あの報告が無かったら、あの時に誘ってた」

「見た目の割に直球だな君」


 感心してるようで呆れているルーカスはエイルを見る。


「優秀な人材は性別関係無いからな」

「そ……そうか。それで救助団体と言うのは。ひょっとしてその設立の資金で」

「ルーカス。その考えは当たりだ。俺はその準備のために冒険者になった」


 冷静だが、心に熱い何かを感じ取ったルーカスはエイルの頭を撫でた。


「おい!?」


エイルは必死にルーカスの右手をどかそうとする。


「それなら僕達も出来る限り協力しておこう。人脈面は君1人の力じゃ厳しい面があるだろ」


 器用にエイルの手を避けて頭を触りながら、楽しそうに答えた。これは本気だろうと悟り、素直に応じる。


「……それは助かるな」


 一方のヴィクトリアは考える仕草をする。それも一瞬だった。


「私も協力するわ! というか入るわ! だってそれ、素敵じゃない?」


 覚悟を決めた表情を少しだけ見せ、立ち上がり、右手を差し出す。頼んだ側のエイルは目を大きく開き、ぽかんとする。


「いいのか? かなり過酷になると思うが」


「ええ。力があっても、何もしない、何も出来ないなんてもっと嫌よ。とりあえずよろしく頼むわ。エイル」


 力強い声で返答される。彼女に応じた方が良い。そう判断したエイルは立ち上がる。心強いと感じるような声を出す。


「ああ。こちらこそよろしく頼む。ヴィクトリア」


 右手を前に出して、握手を交わした。4大貴族の1つであるハートカズラの娘が入ってきた事で更にもう1人の女性が設立に関わる事になる。それはまた次回に。


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