3.背中合わせの相棒
敵に囲まれ、相棒と背中合わせに敵と向き合う彼らは絶体絶命の大ピンチに間違いない。この状況をどうすれば切り抜けられるのか、いくら考えようと答えも浮かばず、想像する未来は死のみ。
表情に諦めが浮かぶ男が今想うのは相棒である彼女のことだ。
「なぁ、この戦いに生きて帰れたらお前に言いたいことがあんだ」
「それ絶対聞けないやつだ」
「んでだよ」
「そーいうの、死亡フラグだっつーの」
「…………」
笑った彼女に彼は言葉を返せない。なにせ、この状況では生きて帰れる方が奇跡だ。彼女が彼の言葉を聞ける可能性は限りなく低いだろう。
「ねぇ」
「ん?」
今度は彼女が話しかける。もう悠長に話していられる程の時間は残っていない。恐らくこれが最後だろう。
「──好きだよ」
「っ」
「答え、聞かせてよ」
「……あぁ。好きだ。──愛してる」
彼の言葉に彼女はニッと笑みを浮かべ「だったら!」と声を張り上げた。
「私達は生きる! 絶対に死なない! ここを突破して一緒に帰ろう!」
「──あぁ!」
先程までの諦めはもうない。
この場を生き延び、愛する者をその腕に抱く為、彼らは目の前の敵に向かって地を蹴った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます