夜ナキ

寝ているとベルが鳴る

玄関のチャイムが

夜中に泣いて

私が鳴く

うめいて うめいて

夜中の騒音に耳を塞ぐ

頭の中で否定する

「そんな音はなっていない」

近頃、幻聴が酷い

鳴ってないものが鳴って

聞こえないはずのものが聞こえる

何度も何度も

証明の録音をしても

泣くような静寂に

何一つの音がない


チャイムもノックも

車の扉の開閉も


私は泣く

「そんな音は鳴っていない」


不安になって

がんばって

玄関に行っても

ドアスコープを除いても


誰もいない


今夜も鳴く

私も鳴く

「そんな音は」

頭を抱えながら鳴いた

目から見ずが零れる

見開いた眼が闇を見る


闇からスコープ先の光りを捉えて

また泣いた

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