頼まれた木の世話を

根腐り木は白く

葉先まで犯していく

目の前に木がある

貴方が気に入っていた木だ

なのに枯れていく

白く　葉先まで　白く

葉の筋が灰に変わる

花が白になる

ぱらぱらと散っていく

木の灰が土の上に降りて

お気に入りの木はなくなった

世話をしなくて何年

その何年前に貴方は死んだので

木も死ぬべきだと思い

でも

とても時間がかかりました

私は白くなりました

髪が白くなりました

寂しく、は　なかった

この木が連れ添ってくれたのです

貴方に頼まれた

世話をしなかったのに

私は白く　灰に

なろうと思います

長く、長く、生きました

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録（無料）

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る