第11話 ギフト開放
ライは一時間程で目覚めた。ここはダンジョンだ!戦闘態勢だ!っとはっとなり、目覚めると同時にがばっと起き上がろうとした。
ユリカが目覚め掛けていたライの頭を撫でており、顔が近かった。
その為ライが起き上がろうとした時に、急な動作の為ユリカは避けられず、ユリカの唇にライの唇が触れた。しかも歯が当たったのだ。何とか頭ゴチンコだけは止められたが、唇が重なるのは避けられなかったのだ。
ユリカはひえー!と唸った。この世界のキスの重みは今の日本とは比べ物にならないくらいに重い。
「きゃー!ユリカとライがちゅーした!ユリカずるいよ!」
ライにとってキスは2人目というか、2度目になる。10歳で魔法学校に入る時、メアリーと将来を誓い合った時に一度キスをしたのだ。子供の頃の事はノーカウントかも分からないが、ライはしっかりとその時の事を覚えていた。
ただ、子供の頃の純粋な好意であり、子供の口約束だった。メアリーもよく覚えていたし、一年前までは自分はライと人生を共に歩む事になると何の疑いもなく思っていた。
また、ライがユリカの唇に触れた瞬間、「スキル付与を一つする事が可能になりました」
と謎のアナウンスが頭の中に聞こえて来た。
「ご、ごめん。そ、その、わざとじゃなくて、その」
「嬉しいですわ。私の初めてがライ様だなんて!メアリー、ご、ごめんなひゃい」
ユリカは慌てており、咄嗟にメアリーに土下座をしたので、慌ててメアリーがやめさせた。
「ううん。羨ましいけど、そのね、私は子供の頃の事だけど、もうライとキスをしているの。だから2人目の筈よ。そうよね?ライ?」
ライは頷くのが精一杯だった。
「良かった。メアリーが先で。私はライ様の第2婦人で良いの」
そう言った矢先にユリカはメアリーに、ライとキスしてしまったと真っ赤になりながらどうしようどうしようとオロオロしていた。第2婦人とつい勢いで喋ったが、何を言ったかを思い出して真っ赤になったのだ。
どうやらメアリーは許してくれているようだが、ユリカはひたすらおどおどしていた。メアリーに何かを言われていたのだがライはそんな2人をただただ眺めるだけだった。
2人の会話が耳に入ってはいたが、ありえない話が聞こえてくるので幻聴の類だと自分に言い聞かせていた。
偶然とはいえユリカとキスをしてしまったので、そんな事を想像というか、妄想している!そんなふうにしか思わず、結局2人の会話は耳に入っただけで、聞いてはいなかった。
メアリーが私もキスして欲しいとユリカに断りを入れ、ライの方へ上目遣いで目を瞑ってライに告げた。
「あの、ライ君?ユリカにだけキスをして私にはキスしてくれないの?」
ライはごくりと唾を飲み込んだが、いかんいかんと首を振った。
「だめだよ。今ユリカが見ているその前で、しかもこんなところで大事なメアリーにキスするなんてできないよ。さ、さっきのユリカとのキスもノーカウントとは言わないけども、できればノーカウントにしてもらいたい位だよ。後でちゃんとしたところで、ちゃんとするから、確かに唇が触れたけど、キスじゃないから。ね。」
ユリカが口をポカーンと開いていた。そしてメアリーは言質を取ったと喜んだ。
「ねえユリカ、ライが今言ったのを確かに聞いたわ。ダンジョンを出たら2人共ちゃんとした所でキスをしてくれるわ。ね、言った通りでしょ?ライってね、ああ見えてロマンティストなの。だから拘りがあるようなのよ」
ふむふむとユリカは脳内メモに記録を取っていた。
そして頃合いと見てメアリーが次の話を切り出した。ライがギフトを一つ開放したから今度は私達2人の番だと。そしてメアリーとユリカがライの脚に各々の頭をのせ、ライの膝枕を堪能していた。流石に床に直に頭を置くのはいやだったのだ。
ライはまだ呆然としており、膝枕をされて暫くしてからはっとなった。
「あっあれっ!?」
と慌てて唸るも時既に遅しだった。
「私達が気絶している時に魔物が来たら守ってね。その、少しぐらいお触りをしても良いわよ。」
意味ありげなことを言ったがライは慌てて否定した。
「し、し、しないよ!そんな事は!寝ている女性にそんな事できないよ」
「分かっているわ。信じているの。でも本当にちょっとだけならいいのよ。ライも男の子だし、女の子を触りたくもなるでしょ?でも胸をタッチするまでで、キスはだめよ」
慌てて真っ赤になっているライを見てユリカも同調した。
「私も構いませんわ。ふふふ。恥ずかしがっているライ様って可愛い」
「ちょっと待って、待ってくれ!俺はその・・・」
狼狽えていたが、2人はお構いなしにギフト取得に動いた。ライの真似をしたのだ。
「我の求めに応じギフトを解放せよ!ギフト神の眼/千里神の目鑑定解放!」
2人が同時にハモり、やはり2人は同時に気絶した。
ライは悩んでいた。この状況どうしたものかと。そういえばライは大事なことを一つ聞き忘れたのだと思い出した。どれぐらい自分が気絶していたのか、つまり彼女達がどれぐらい気絶しているのか分からなく、うーん困ったと唸っていたのであった。
因みにメアリーはお触りをされても良いとは思ってはいたが、ライの性格からはこういった時に何かをしてくる事は無いと思い、リスクはあるがからかっていたのだ。つまりライはメアリーの掌の上で転がされている状態なのであった。
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