第22話 現金に育っちゃったわね

昨日は10時に寝て、今日は7時に起き、髪型を整え、出発の準備をした。


それから9時になりそろそろ出発しようとしていた。

「母さん、昼食買う金くれ」


「テスト期間なんだから遊びに行ったダメよ」


「違うよ。勉強しに行くの」


「ウソはダメよ」

なかなか信じてくれないお母さんをどうすればいいか迷っていると奏が助けてくれた


「お母さん、ほんとだよ。栞さんの家で勉強するって昨日LINESがきた」


「なんで奏に?」 「栞さんて誰かしら?」


「奏に来た理由は言わない。栞さんは少し前にお兄ちゃんが一緒にデートした人で、未来ちゃんのお姉ちゃん」


「だからデートじゃないって」


奏に来た理由は分かっているような感じだが、教えてくれそうになかった。


「それとお昼ご飯は作るから買ってこなくていいって」


「そうか」


「女の子の家なのね!それなら早く言いなさい!これを持って行って」


渡されたのはそれなりの高級和菓子だった。


俺も食べたことないのに。


「これを逃したら母さんは死んでも死にきれないわ」


「俺はそんなにモテないと思われてんのかよ」


「うん」


「母さん!」


「でもお兄ちゃんクラスのえっと……わ、若宮?さんて人から……」


「奏!ストップ!こっちこい」


2人は母さんから少し距離を取り、小声で話した。

「母さんには言ってないんだからやめろよ」


「言えばいいのに」


「ダメ!」


「はーい」


それからまた母さんの近くに行き

「そういうことだから今日は外出するね」


「奏。教えてくれれば今月のお小遣いは倍にするわよ」


「お兄ちゃんが出たら教えるね!」


「奏さん!」


「それは、お小遣いが増えるなら兄でも売るよ」


「奏さん!お願いします」


「航大も裏を取るために帰って教えてくれたら今月は倍にするわよ」


「わかった。待ってて」


「お兄ちゃん?いいの?」


「小遣いが増えるなら全然いいさ」


母さんはこめかみに手を当てながら

「現金に育っちゃったわね」

と言いながらうなだれいる



それからあっという間に時間が経ち、出発の時間になった。

<今から家を出ます。15分ほどで着きます。>


<りょーかーい。待ってまーす♡>


♡だと!

実際に使う人がいたのか?

俺のような童貞は♡=カップルの会話というものが成り立っている。


つまり俺と柴田さんはカップル。

QED証明終了。


すいません。調子に乗りました。

多分柴田さんのフレンドリーさから出たものなんだろう。

こんなこと考えてないで出発しよう。

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