第19話

カランと音を立ててドアを開ければ、そこは見慣れた喫茶店。


あきおの実家だ。



「いらっしゃ…え?ゆいなちゃん?」



あの頃よりも少しシワの増えた優しそうな女の人。あきおのお母さんがいた。



ずっとこの人からも逃げ続けていた。突然会いに来て不審に思われるんじゃないかと思うとなかなか言葉が出てこない。



「あの…私…」


彼女は私の手をそっとにぎってくれた。



「大丈夫よ、会いに来てくれたんでしょ?あきおもずっと待ってたから…」


すぐに行くから上がってと言われ、勝手知ったる昔のままの家の方に上がった。

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