第二部【カクヨムオンリー】
第40話 最強パーティ
「さて、いよいよ問題の第十階層だね」
最後に階段を降りて来たシグルドが、両腕を広げて
右手には細い枯木の
両手で持って力を入れれば簡単にへし折れてしまいそうなその杖は、しかし第二十五階層の宝箱から出た超レアな武具だった。
通常、杖についている魔石は魔力を
いくら使える魔力が増えても、それを制御して魔法を完成できなければ宝の持ち腐れだが、無駄に器用なシグルドはそれを楽々とやってのける。
「いよいよも何も、ここまで全部戦闘を俺に押しつけてついてきただけだろうが」
「それが一番速いんだから仕方ないじゃないか、
「だーかーら! それをやめろと何度言ったらわかるんだ!? うっかり外で口を滑らせたりしたらどうするんだよ!」
「シグルドはクロトの前でしか言わない。遊んでいるだけだ」
今にも消え入りそうな声で言ったのは、全身を
さらに巨大な
「遊んでるなら余計
「まあまあクロトさん、ギルド長はいつものことですから、怒るだけ無駄ですよ。下層に行けばギルド長もちゃんと仕事をするはずですから」
冒険者ギルドの受付をしているときのブラウスとロングスカートという
だが、この
小さな羽根がついているショートブーツは第二十三階の宝箱から手に入れたもので、俊足と蹴りのブースト機能がついているだけではなく、両足で一歩ずつ空中を歩くことができるという逸品だ。
両
その点、俺の装備は
ホラスの鎧の下位互換のような機能しかない
そんな俺がなんでユルドで最強と名高い、魔法使いのシグルド、タンクのホラス、シーフのアメリアの三人パーティと一緒にダンジョンに潜っているかと言えば、先日の異変の調査の案内を依頼されたからだ。
正式な依頼であるならば、それも冒険者ギルド長たっての依頼となれば、断ることもできない。
各扉を開いてフロア構造を固定するだけでいいって言われていたはずなのだが、
「クロトだって、早く可愛い弟子たちの元に帰りたいだろう?」
シグルドがまた
本気とも冗談ともつかない口調なものだからなおさら腹が立つ。
「あいつらには課題を与えてあるから随分前から潜りっぱなしだ」
「ギルドにはこの前来ていましたよ?」
アメリアが首をひねる。
「師弟制度の支給品を取りに行っただけだろ。課題をクリアするまでは帰ってくるなと言ってある」
「あはは、さすがクロトだね。スパルタだ」
「俺にはあいつらを指導する気はない。さっさと他の奴に
だいたい、あいつらを弟子にする羽目になったのも、お前のせいだろうが!
「わたしは早く帰りたい。仕事が山積みだ。……シグルドもな」
「あはは……。ホラスに怒られる前に、先に進もうか。アラクネが上がってきているか確かめたいから、ここからは最短距離じゃなくて、全部の部屋を回ってってね」
シグルドが俺を見てにこりと笑った。
また俺が先頭かよ。
だが、それが一番手っ取り早いのは確かなのだ。
「遅れずについてこいよ」
「あ、僕らは最短距離で行くから」
「は?」
「探すだけならクロトだけでいいよね?
いや、確かにこの三人を引き連れて行くより、俺が一人で走り回った方が速いけどな?
文句を言おうとしたが、にっこりと笑みを深めたシグルドを見てやめた。
問答を繰り返すだけ無駄だ。こいつは柔和な見た目と態度をしているくせに、我はゴリ押しするヤツだ。
俺はため息をついて、オーラを全開にした。
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