疫病神だったとしても僕は
凛ちゃんに言われ近くの公園で僕は待つ。愛は来てくれるかな.....。
砂をこすり歩くような音の方を見ると愛がゆっくりとこちらへ歩いてくる。
「愛」
「太陽 ごめんね」
ほんとだよ 電話でて欲しかった.....。
さすがの僕でも無視されるのは悲しいのだ。
「......会いたかった」
「太陽、私学校辞める」
「それだけはダメだよ」
「二年の学費払えないし、太陽は停学にしてしまうし、これ以上巻き込みたくない。公立に転入する。」
「ミス百合は?停学なんて今だけだよ。巻き込まれたくてこうしてるんだよ.....僕は.....3年間あの学園に愛にいてほしい」
僕は人と関わりたくなかった。あんな学園ならじっと存在を消して3年間経てばいいと思ってた。でも愛が変えたんだ僕を。
僕はこの3年間をしっかりあの学園で生き抜く決心をしたんだ。それが出来なきゃこの先の人生またじっと存在消して生きることになる気がする。
それじゃ駄目だと......。
「太陽 もう、さよならしよう」
と愛は下を向いたまま消えそうな声を出した。
愛も僕と一緒だったんだ。みんなに避けられ友達居なくなってポツンとあの日窓辺に咲いていたんだね。なのにこんな僕と付き合って揉め事が増えて、愛はただ静かに過ごしたかったのかもしれないのに。
僕が、巻き込んだのかも知れない、君の厄除けになったから。疫病神だ.......。だけど、僕は......。
「......いやだ。」
「......太陽」
「そうやって全部やめちゃうの愛じゃない。愛は僕が嫌い?違うなら......延期して」
「延期?」
「うん.......。嫌いになるまで」
「.......」
僕は何も言わない愛をぎゅっとした。
でもすぐに愛は僕に背を向けて「もう戻らなきゃ」って行っちゃった。
◇◇◇
それから、停学は解かれ学園へ戻ったが愛とデートは出来ていない。いやデートどころじゃない。
傍から見れば別れたカップルみたい。
『フラれた山本』
でも、無視されてるわけじゃなく凛ちゃんや春斗のおかげで僕らは相変わらず一緒に居た。
ミス百合だって、凛ちゃんが説得してエントリーした。
僕はマスカットの香りが恋しいまま
塾の帰り道も何度も手をつなごうと出す手を引っ込めたりしながら愛の隣にいた。
今はそっとしておこう。みんなが別れたと取るならそれは別に構わない。
愛は僕の好きな人だ。
何よりミス百合に集中するんだ。
だが愛はやる気なしのエントリー。ダンスの練習しよう!だなんて僕には言い出せなかった。
塾の帰り
「愛、ミス百合出たくない?」
「......でも出来るだけの事はやってみる。凛がさ凄いんだ。あんなに協力してくれてるし。」
「ダ あ。えっとダンス.....僕当日エントリーする」
愛はフッって笑った。
プロムダンスは当日、会場で出たい男子は正装してエスコートするルール。
ほんとは、ダンス練習をうちでしたいけど。今の愛はなんだか遠い.....。
駅につくとまたさりげなく直ぐに改札へ向かおうとする愛。
「じゃあね 太陽」
「送るよ」
「大丈夫だよ」
どうしたものか、この付かず離れず......いや、完全に離れていく感じが僕には堪らなく侘しいのだ。
「ちょっといい?」
僕は愛をひっぱってベンチに移動した。
「僕は、愛がいいんだ......毎日学校の帰り歩くのも ちょっと照れながら手つなぐのも。色んなこともっと一緒にしたいんだ。だから遠くに、そんな遠くに行かないでほしい」
「遠く?」
「うん 愛が遠い」
「......太陽、ミス百合の準備は恥ずかしいから.....それだけ」
「え?」
「大丈夫」
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