ツンヤンデレな彼女に、俺は衝撃を隠せない。 〜彼女のマル秘ノートを見た俺は、彼女へグイグイ攻めていく〜

白海 時雨

第1話

突然だけど、俺、片桐 静人は、隣の彼女に、嫌われている。理由は、分からない。なんか気が付いたら、嫌われていた。なぜこのように思うのかというと、彼女の態度は、僕にだけ辛辣なことから分かる。


その証拠に一回試してみよう。


「あの、消しゴム忘れたので、貸してくれませんか?」


「は? 今、なにをおっしゃったのあなた?」


「いや、だから、消しゴムを少し貸してほしいんですけど」


「はっ? なんであなたなんかに貸さないといけませんの? 全く、身分もわきまえて欲しいわゲスがっ」


おい、身分ってなんだよ、身分って。


まあ、このように、隣の席の彼女は、僕にだけ冷たい。いや、別に嫌ってわけじゃないんだけどなんかね。うん。理由も無く嫌われるのって悲しいもんだよ?


でも、彼女は、自分を嫌う理由は何かしらあると思う。いや、ある!


無くて嫌われてたら、それは、ただの可哀想な奴じゃないか。


とりあえず、俺は、彼女にちょっとでも好いてもらえるように、頑張ってみようと思う。


頑張るぞ、えいえいおー。




「なあ、健太郎、俺の嫌われるポイント言ってみてくんない?」


「ケチ、性格、鼻につく、バカ、アホ…」


「おい、ただ単に俺の悪口言うのやめろ。もっとこう、ちゃんとした理由になりそうなもんだよ」


「えー、思いつかん。お前なんもないやん」


「ひどいなあんた。俺が嫌われる理由すら何もないかわいそうな人間だと言いたいのか」


「うん」


「だから、ひでぇよ。あ、そうだ。何もないからこそ嫌われるとかあるかな」


「お前、それで彼女に嫌われてたら、相当な才能だぞ」


「人を惹きつけさせない才能か。だから、誰も寄ってこないわけだ」


俺は、唯一の友達。いや、友達っていう割には、さっきから俺への暴言がひどいけど。まあ、そんな奴と下校しながら、今、彼女に嫌われている理由について話し合っていた。


しかし、この健太郎と話していると、妙に悲しくなって来るのはなぜだろうか。


自分がいてもいなくても変わらない空気みたいな人間みたいに思えてしまう。


悲しすぎるよ、健太郎。


俺は、健太郎の方を向き、しょんぼりしたような顔をしてみる。これで、こいつも少しは、慰めてくれるのでは。


「え、なに、きもいんだけど」


「おう!」


分かっていたよ、健太郎君。君が人の心を持っていないことなんて。この世の常識だよねっ。


そして、俺たちは、話していると、それぞれの家路への分岐点に差し掛かった。お互い委員会があったせいで、もう日が暮れかかっている。


「じゃっ、また明日~」


「おう」


俺は、別れの挨拶と同時に、健太郎に向かって投げキッスをしたが、気づいてもらえなかった。投げキッスは、どこへ行ったのだろう。綺麗なお姉さんにでも行ってると良いな。


そんなこんなで俺は、家へと真っ直ぐに帰っていく。帰りは、すぐに家に引きこもりたいので寄り道はしない主義。


なので、今日も、ゴーストレイトで家へと向かっていた。近くの公園の横を通りながら、遊んでいる子供たちを見ながら和む。これが最近というか、高校生になってからの趣味である。


決して、ロリコンとかそっちの方ではないから安心してくれていい。


なんかただ純粋に楽しそうに遊んでいる姿が日頃、傷心している心を穏やかにしてくれるのだ。


そんな中、俺は、何かを見つける。


そう、子供たちが遊んでいる光景の奥に何かが見えるのだ。


「ん? なにあれ、超気になるんですけど…」


だが、俺は、寄り道はしない主義。帰宅部のプライドにもかけて、僕はっ。


「まあ、別に家に帰っても、ラノベ読むか、アニメだしいっか」


鉄の意志は、豆腐のようにくずれていく。


俺は、公園の中に入り、その見える何かの方向へと進んだ。


ボールを投げ合いながら、笑顔で遊んでいる子供たちをよそに、俺は、何かが乗っている公園の端の一本の木の前へと行く。


「んー、なにあれ、ノート?」


目を細め、見えるのは、木の枝の上に乗っているのは、紛れもなく、ピンク色のノート


「ここまで来たら取るしかないだろ」


ピンク色のノートが引っかかっている枝は、とても高いところにあった。まじでどうしたらこんなとこにノートという状況が発生するのか聞いてみたい。


俺は、疑問を抱えながら、手をノートに向かって手を伸ばす。しかし、全然届かなず、空を切った。


「くっ、なに」


今度は、ジャンプしながらとる作戦に移る。だが。


「くそっ。高すぎだろっ!!!」


これには、温厚で超優しく最高な俺も怒ってしまう。こうなったら絶対取ってやる。


待ってろよ、くそノートが。


俺は、恥も何もかもを捨て、木によじ登る。子供たちが見ていないことを祈りながら。


こんにゃろおおおお!!


怒りをパワーに変え、物凄いスピードで駆け上がる。その姿は、まるで、ゴキブリ。


そしてやっとのことで、


「はぁはぁ、よっ、よし、来たぞ。くそノート。はぁはぁ」


流石体力万能過ぎて、50メートル走で、13秒を記録した俺でも疲れ果てていた。


俺は、そっとノートに触ってみると、ひもでくくられていた。ひもをスルスルとほどき、ピンク色のノートをゲットする。


「よ、よっしゃ、う、うわぁぁぁぁぁぁぁ」


達成感出来が抜けたせいか、木の上から転落する俺。恥ずかしくて死にたい。周りを見ると子供たちは、気にせず遊んでいたので死ぬことはなかった。


そして、遂にゲットしたノートを見る時。ワクワクが止まらない。


人のノートを勝手にみるのは、悪いけど、ごめんな! 俺は、見たいがために頑張ったんだ!


恐る恐る俺は、ノートを開く。


そこには、そこには驚愕の内容が記されていた。




──────────────────



今日で、しずとくんと会ってから、400日♡


今日は、彼に消しゴム貸してくれって言われちゃった!!!!!もうこんなの叫ぶしかないでしょしょしょしょ!!!!!!


きゃああああああああああ!!!!!


ねえ、やばいことだよこれ!!!


しずとくんが私の消しゴムに触るとかまじ神!!!ほんとっ、幸せすぎて死んじゃうって!!!好き過ぎて、まじ無理!!!


でも、私素直になれなくて…




断っちゃったよおおおおおおおお!!!!!何してんの私っ!!!!自分からご褒美遠ざけてどうするの!!!


今度聞かれたら絶対貸して、触ってもらうんだから!!!そして、その消しゴムでぐふふっ…。


とりあえず、しずとくん!今日も好き!!!



──────────────────




「わ、わお…」


とんでもない物を、見てしまった俺は、啞然とすることしかできなかった。言葉もわおしか出ない。


こういうのは、見なかったことにするのが一番。そうだ、俺は何も見てない。うん。


俺は、最初登ったスピードの二倍のスピードで駆け上がり、元の位置へと置き、ロープでぐるぐる巻きにする。これは、自分の中に封印するべきものである。


巻き終わると、俺は、子供など気にせず、無我夢中で家へと走った。

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