第10話「ろくじゃおんの鹿の王」
東の鹿の群れと西の鹿の群れの玉入れの終わりの話です。
無差別に狩りをする王にたいして
鹿の王たちは、定期的に交代で
生け贄を渡すことで、他の鹿に、順番が来るまでは安らかに過ごさせてもらうことに合意を得ました。
王の命は1つなので、鹿の命も1つ差し出すのです。
ところが、ある時
2つの命を持つ鹿の順番が、やって来てしまいます。
順番の来た鹿は、産み落とすまで、待ってほしいと、鹿の王に頼みに来ました。
その言い分自体は、間違いではないのです。
王の命は1つですから、鹿の命も1つ差し出す約束なので、鹿が命を2つ持っていたのなら、それは、約束が違うと言われるのは仕方ありません。鹿の王は、次の順番の鹿に、代わってくれないかと頼みにいきます。次の鹿は、泣くのです。「今日1日生き延びることで、どれだけたくさんの未練を消化できると思いますか?私の命は明後日までと私は覚悟しています。急に今死ねと言われても、仕方ないとは思えないでしょう。」鹿の王は、なるほど、それもその通りだと納得しました。
西の鹿の王にも、相談しました。
西の鹿の王は冷静に「生まれるに間に合わない小鹿は、生まれぬ定めだったのだ。必ず今日明日生まれるという約束があるわけでもない。無駄に命の終わる日を引き伸ばすことに賛成することは、出来ないよ。」と突き放します。
東の鹿の王は、約束も守りたかったし、命を出すまでを埋めたかったので、自分が孕んだ鹿の代わりに、王のもとに行きました。
人の王は、驚いて、東の苑には、鹿がいなくなったと勘違いして、鹿を食べるのをやめることにしました。
孕んだ鹿も、西の鹿の王も、西の苑の鹿も、東の苑の鹿も、それからは、狩りの犠牲になる危険から逃れて過ごすことができました。
最小の犠牲を飲み続けることで、
それが「犠牲である」という理解と
「犠牲は取り止めることができる」という行動が、両方揃って、平和になったという話です。
それと、原則と特例のバランスの話です。
ルールは、冷たそうに見えますが、理屈を正しく開くと、解決するということです。
命を助けてくれない明後日の鹿の言い分を、鹿の王は、責めませんでした。
人間のように、何故?赤ちゃんが生まれることは、優先しなければならないだろう!とは言いません。
ルールだから、いいことも悪いことも、
それ以上は、関わらない
そういう仲間の存在も、受け入れている鹿の王は、結局のところ、約束の根っこである人の王に、狩を辞めさせることに成功するのです。
人との関係で設置されたルールは、人が片付けることができます。
鹿の王は、自然の「命は生まれる」というルールを守ろうとしただけですから、片付けられないルールを優先したから、皆が助かった、ということを教えてくれます。
ヤクザの見か締めのような、「守ってやる、カネ出せよ」というルールは、「守られる国で暮らしている」事に真摯であれば、要らない約束だと、明らかになる「その時」が来るものなのです。
孕んだ鹿の子供は、その後、東の鹿の苑の王になって、自分を見捨てる発言をした他の鹿も守って暮らすことになったそうです。
西洋の王の話に、我が子があなたを殺す、と予言された王が、生まれる子供を次々殺してしまう話にも似ています。
でも、実は
この話は、卵巣の話で、鹿は卵子のことを
表しているのです。
双子が生まれる理屈を、そのように、説いたのです。
女性の生理をそう言ったのです。
卵子が、子供の形にする精子と出会うことを「狩りをする人の王」HUNTERに例えています。Hは水素Nは窒素、Hは時Nは心。
水心あれば魚心と言うのは、この話の略語です。終わりをfinishと言います。
魚の始まりと受精卵の胚が胎児になった時は、とてもよく似ています。
観察を、表現で話した、その内容が
鹿野苑、と漢字の音を当てたのは
「6字8音」という、最小限の表現も表しています。「あいうえお―ん」という6字と
「シドレミファソラシド」の音階の8分で1音階と言うことをつかんでいるからではないでしょうか。
そういえば、公の字は、文字の8と音の6ですね。認知できる実態は音階の8と母音の6音です。
この鹿の話は、世間の事でもあるのではないでしょうか?
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