第30話 呂久村 深月、神と出会う
ほお、シンプルで見やすいブログだ。「BLの考察~なぜ私はBLを愛してやまないのか」。
とりあえず最新記事を開いてみて驚いた。文字がびっしり書き込まれている。
うわお。眠うなるわ。
あぐらをかく俺の足の上で寝そべるデレをなでる。
気になるタイトルを探そう。BL漫画の感想とか書かれてても俺興味ないし。
カテゴリーは「私が求めるBLとは」を先頭に「BL漫画レビュー」「BL小説レビュー」と続きさらに細かく分けられている。
ものすごく手のかけられたブログだって感じがする。俺はブログやったことないけど、前になんかでたどり着いたブログはこんなに凝ってなかった。
BLとはって書いてるカテゴリーの古い記事から見るか。私が求めるってのが付いてるけど。
一番古い記事は、「BLにおける愛情と友情の違いとは」という、今まさに俺が知りたいタイトルだ。
「まず、BLとはファンタジーである。」
1行目から何なんだ。
ファンタジー? 世紀末フェアリーズワンダホーみたいな?
「リアリティはあれどもリアルはない。リアルなど求めない、私が求めるものはただそこにある純粋な恋愛模様である。
世界を好みのイケメンたちで埋め尽くしたい。美少年だったりちょい悪だったり、多種多様な好みのイケメンが悩みながらもただひたすらに相手を求める姿を私は見たい。」
……女子って、そこまでイケメンを欲してるのか……。
それだけリアルのイケメンが少ないって言われてる気分。悪かったな。
愛情と友情の話わい。
その辺のワードを探してスクロールする。
「ファンタジーであるBLにおいて、男性同士が互いにまたは一方的に好意を持つのは何ら問題ない。だが、私は友情が進化して愛情になるとは思わない。あくまでも友情と愛情は別物でありどちらが上だ下だというものではない。」
「私と友情、どっちが大事なのよ?!」「次元が違うんだから横並びにしてどっちが大事とか決められるもんじゃねえんだよ!」っていう、カップルのいざこざ、ドラマやアニメや再現VTRで何度も見た覚えあるぞ。あれか!
「男女間に一目惚れがあるように男性同士間でもあって当然。男女間で長年友達だったのにある日いきなり異性として意識するのと同じように、同性でも友達にある日いきなり恋愛感情を持つこともあってしかるべき。」
ハッとした。
友達にある日いきなり恋愛感情を――今日の明翔が、そうだったんだろうか。
たしかに、男女間で友達からカップルにってよくある話だ。それが男同士ならあり得ないだなんて、言えないのかもしれない。
「男である女である以前に我々は人間なのだ。人間が男女2種類に大別されるから、子孫繁栄の観点から男女の組み合わせが基本とされるのだ。人間が男系4種類(A~D)、女系4種類(E~H)、計8種類くらいに分別されれば、タイプAとタイプDのカップリングだって男と男というように端的に表されてしまうことはきっとなくなるのだ。」
……ちょっとどころじゃなく、何言ってんのか分かんねっす。
何この人。変な人なんだろうか。
それとも、俺のような凡人には理解できない思考の持ち主なんだろうか。
俺にはない観点の持ち主であることはこのたった1ページを読んだだけでも明らかだ。
男が男に好きだなんて理解できないと思ったが、男である以前に人間なんだ。
このブログの管理人「カン・リニン」さんは、なんて達観した恋愛観の持ち主だ。
すごい、すごいよ。
まるで、神のように高い所から人間というものを観察している。
この人は、神だ。
俺なんか全然恋愛マスターじゃなかった。
この人こそ、なんという常識にとらわれないファンタジックな恋愛マスター!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます