だまされじょうず

りら

第1話

「ねぇ康太、嘘つく人ってどう思う?」

「....もちろん最低だよ」


 そう言いながら2人は腕を組み花弁の舞う白い道を歩き出した――――




 中学3年春、新学期が始まって早々俺の平凡な学生生活は一変した。

恋愛経験ゼロの俺が女の子と一緒に帰ることになった


「ごめんね天宮くん、急に誘って」

「大丈夫だよ。俺いつも一人で帰ってるし」

「長谷川くんとは帰らないの?」

「あいつ部活だし、遅くまで練習してるから

 いつも先帰ってるんだ」

 少し引きつった笑みでそう答えた。

「そっか....じゃあさ!これからも一緒に帰ら

ない?」

 俺は夢なんじゃないかと思い、自分の頬を

 つねった。

「いたっ....」

「天宮くんなにしてるの?」

 彼女は笑いながらそう言った。

「ごめん、女子にこんなこと言われるの初め

てだから夢なんじゃないかと思ってさ」

俺も笑いながら答えた。

「夢じゃないよ、ねぇ....だめかな?」

 急に真剣な表情で聞いてきた。

「俺でよければ全然いいよ」

それから俺達は毎日一緒に帰るようになった


「お前、最近女子といい感じじゃね?もしか

 して彼女?」

「そっ....そんな訳ないだろ、お前が部活終わ

るの遅いから一緒に帰ってくれてるだけだ

よ」

「まさかお前みたいなやつに一緒に帰ってくれる女の子が出来るなんてな」

「余計なお世話だ」

こいつはいつもこんな感じでからかってくる

「自分でもよくお前みたいやつと幼なじみ

やって来れたと思うよ」

「なんだと!もう1回言ってみろ!」

2人はいつものようにくだらない話で笑い合った。


「そう言えば啓人来月大会だったよな?」

「そうだよ、早く帰ってお前の彼女の顔見て

やりてぇけど、残って練習やんなきゃいけ

ないから大会終わるまでお預けだな」

「だから彼女じゃねぇって」

「わりぃわりぃ、でもお前の事気に入ってく

れてるみたいだし、大切にしろよ?」

「分かってる」


 学校へ行き、啓人と中身のない話をし、面倒な授業を受け、あの子と帰る。それが俺の日課になって気付けば太陽が暑く照らす季節になっていた。


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