237 〈呪霊灰山 8,9合目 灰影庭園〉23 宝物庫の守護者 銀砂宝環機HGNエングレイブドAR11

 シュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!! エングレイブドの背後に浮かぶ、三つの砂時計が合体した様なオブジェクトの巨大構造体は、複雑な回転軌道を描きながら激しく高速で回転し、その中の砂と共に徐々に強い光を放つ!!


『決して揺らぐ事も壊れる事も無い金剛界の叡智の輝きよ! 天道を行く日輪の輝きと成りて我らを照らせ! 『天道日輪金剛不壊』!!!』


 間に合った!?


 グオ――ン!!!! 白銀の粒子が砂時計のオブジェクトから波動の如く解き放たれ、それと同時に黄金の太陽の輝きがエルナ達を包み込む!!


 ドゴゴゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!!!!!!

 極限まで高まった白銀の粒子の、余りにも強烈な光と熱が空間を捻じり削り焼き尽くす!!


 『天道日輪金剛不壊』の黄金の太陽の輝きが、白銀の光の猛威を完全にシャットアウトしているのだが。徐々に黄金の太陽の輝きが弱まり、その影響を指し示すかの様に視界の端に砂時計のアイコンが表示され、『天道日輪金剛不壊』の効果時間が物凄いスピードで減少して往く。


 これは、時間経過加速によるバフ剥がし!?

 この攻撃がどれだけ持続するのか分からないが、このままだと不味い!


 直ぐにサレスが俺の意図を汲んで動く!


『万霊水神大鏡壁!!!!』


 ドッ!!!ザバァアアアアアアアアアアアッ!!!!

 白銀の暴威とエルナ達を隔てる様に水が流れ落ち壁を築く。

 そして、直ぐ様水の壁はスゥッと静まり、波紋一つ起こさない水鏡の巨壁と化す。


 パァァ――――――ン!!!! 『万霊水神大鏡壁』の水鏡が、空間を捻じり削る白銀の粒子の暴威を、その発生源であるエングレイブドへと跳ね返す!!

 それと同時に砂時計のアイコンが消え、『天道日輪金剛不壊』の効果時間の経過速度が正常に戻る。反射が効いたか!


 グオ――ン!!!! ドゴゴゴゴゴゴォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッ!!!!!!!!!!!! 跳ね返された白銀の粒子を迎え撃つ様に、砂時計のオブジェクトから再び白銀の粒子の波動が放たれる!! 第二波だと!?


 グゥオンゴゴォガァァ――――――ン!!!! 新たな波となって放たれた白銀の粒子が、『万霊水神大鏡壁』が跳ね返した粒子を飲み込み、威力を倍増して『万霊水神大鏡壁』に返され衝突する!!


 『万霊水神大鏡壁』の水鏡の巨壁が震え白銀の粒子に侵食される!


 第二波が有ったって事は、三波も有るかもしれない。

 ならば此処で、この攻撃に完全に対処し切るべきだろう。

 と為れば、白銀の粒子を何処かに飛ばすのがベストか?

 それなら『ブラックホール』と行きたい所なのだが、『ブラックホール』はエルナだけだと制御し切れなくて自滅しそうだし、『マイクロブラックホール』じゃ不足だろう。それと、桜の『ディメンションエクスターミネイト』もだ。

 でも、二人でやるのなら。


「桜!」

「はい! アレですね!」


 エルナの呼びかけに、察しの良い桜は直ぐに応じてくれる。


『『ディメンションブラックホール!!!!!』』


 ブブブブブッッ!!! ブオォォオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!

 空間にノイズが走り、全てを飲み込む暗く幾重にも歪み捻じ曲がった底なし沼の如き、漆黒の次元球が出現する!!


 ギュォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!!

 フィールドを蹂躙する白銀の粒子が、空間が捻じれ引きずり込まれる様に漆黒の次元球の底に吸い込まれて往く!!


 グオ――ン!!!! 予想通り、三度目の波が広がり白銀の粒子が荒れ狂うが、全て『ディメンションブラックホール』の歪みの底へと消えて往く。

 良し! 完全に対処し切れたぞ! 次同じ攻撃をやられても、もう怖くないな!


 光が収まり『ディメンションブラックホール』も消えると、相当なダメージを与えた筈のエングレイブドが全く無傷で姿を現す。いやいや、何で回復してるんだよ!?


 あのカウントダウン攻撃回復効果も有るかよ!? 超威力のフィールド全域攻撃な上に、ダメージ継続,効果時間減少によるバフ剥がし、おまけに回復するとか。

 はぁ~。とにかく、砂時計のギミックを一つ一つ確実に潰して行くしかないか。

 とにかく仕切り直しだ。


 差し当たって決めるべき事は、カウントダウン攻撃の巨大オブジェクトを先に壊すのか。それとも、エングレイブドの内部に格納された砂時計を先に壊すのかだな。


「ふむ。見た所、側は直っておる様じゃが。あやつ、中身は本当に直っておるのかのぅ? 確認じゃ!」


 そう言うとエナが、仕切り直しの先手を取る!


「『水は全てを廻る。それが水の理。故に水理の及ばぬ物は無し! 『透龍真水波』』じゃ!!」

『!? close-range attack ――engrave laser blade rush‼』

『fire light double elementsglass ――burn flash‼』


 エナの先手を取った動きに、エングレイブドが慌てて反応し攻撃を繰り出すが。

 レーザーブレードの乱舞を冷静に躱し、爆ぜる灼熱の光を『透龍真水波』の水の龍を使い受け流す!


 クルオゥッ!!!! ドッッッッ!!!!!!!! 懐に入り込んだエナが、『透龍真水波』の水の龍を直接エングレイブドに叩き込む!!


 ギュゴッ!! ギャリギャリィッ!!!! 『透龍真水波』の透明な水の龍は、エングレイブドの装甲を擦り抜け内部の砂時計のギミックを破壊せんと暴れ回る!!


『『GOGAGAGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?!!?!!!??』』


 バキンッ!!! ブシャァサァ――ッ!!!! エングレイブドの胸部中央の上部パーツから、何かが割れる音が響き砂が漏れ出す!!


 幾らエナの『透龍真水波』が、装甲を無視して直接砂時計を攻撃出来ると言っても一発で壊せるとは考え難い。エナはエングレイブドの内部の状態を探るため、エングレイブド内部の全体を攻撃した筈だし、何より壊れた砂時計の位置が頭部に次いで何度もダメージを受けていた部位だ。


 砂時計のギミックに与えたダメージは、回復しないのでは無いかと予想していたが、どうやら正しかった様だな。そして、今壊れた砂時計のギミックは停止の力を持ったヤツだ。これは確実に楽になるな。


「ふむ。中身にちゃんとダメージは蓄積されておるようじゃ」

「うん。そう見たいだねエナ。なら、私達が優先的に狙って攻撃する砂時計は、厄介な時間干渉をして来るヤツに決まりだね」

「そうじゃな。わしも、時間干渉する力を早めに排除するのに賛成じゃ」


 クイックとスロウは、厄介だしどう考えても後に残して置くのは危険だし、パーフェクトの効果はガチでヤバイし最優先で破壊するべきだ。

 うん。この三つの砂時計のギミックを中心に狙って攻撃するとしようか。

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