詩集 ぜんぶわたしがやりました
井上橙子
演じた人々
舞台、ひと夏の真夜中
主人公、
餌付けが得意で
ばらまいては引き寄せ
でも、あいを返せはしない
まずしいbreeder
脇役、犬(のような)
その他キャスト、
支配的な主人と
腹をみせた犬
吐き出される言葉を耳で
貪り脳髄まで声があふれる
お腹いっぱいでも
まだ足りない
熟れて腐りかけたトマトを壁にぶつけるように酷い言葉をなんども投げつける
その度に淋しく、無力に染まり、俯いた犬(の様な)
(暴力的な蜜月)
幕裏のものがたり:同時多発的に行われた餌付け
赤蜻蛉が街に姿をみせた。
夏も終わりに近ずいて
犬(の様な)は「じゃあね」と、
沈黙して瞳を閉じ耳を塞ぎ
緞帳を落とす。
【終劇】
決してかみさまとの駆け引きでは無かったけれど流れに身を委ねた。
流れ流されて、
いつか何処かの岸辺にたどりつくまで、犬(のような)。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます