約束
貴亮はその日、目を覚まさなかった。ただ容態は安定したらしく、集中治療室から一般病棟へ移されることになった。貴亮にも持病があることを教えてもらった。私も貴亮と同じだと言うと貴亮のお母さんは驚いた様子だった。目が覚めたら貴亮に伝えてくださいとお願いすると了承してくれた。
私は貴亮が倒れたあの日のうちに自分が入院していた病院に戻された。本当は貴亮のそばで目を覚ますまで手を握ってたかったけど私のお母さんに「自分の体を考えて。お願いだから。」と涙ぐみながら言われ従うしかなかった。私は貴亮の左手首にブレスレットをかけ病院をあとにした。
「もしもし」
「もう大丈夫なの?」
「今は大丈夫だよ。あの、ブレスレットありがとう。気に入ったよ。」
「よかった。」
「実は俺もさ、彩葉にプレゼント買ってたんだ。」
「ほんと?私たち、似たもの同士だね。」
「そうだね。じゃあ次はあめのいろ。のライブに行こうよ。その時渡すから。」
「いいね。約束だよ。」
「うん。約束。」
「会いたい。また。」
「会おう。絶対。」
私にとって、私たちにとって、明日は当たり前じゃない。不安で泣きたい時も、辛くて叫びたい時もある。だけど、それでも、前を向く。後ろに希望はないから。前にしか未来はないから。
私は、僕は、信じてる。
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