水族館

「楽しそうだったから!」

 貴亮からの質問に元気よく答える。貴亮はそんな私を見てふふふっ、単純なヤツと笑ってくれた。笑ってくれたことにほっとして私にも笑顔がこぼれた。そこからは気まづい空気は一切流れなかった。いつも電話で話しているように他愛もない話で盛り上がる。ふと電車の外を見ると綺麗な青空が広がっていた。絶好の遊び日和だと思った。

 長いこと電車に揺られていたらしい。らしい、というのは体感時間はあっという間だったからだ。片瀬江ノ島駅〜片瀬江ノ島駅〜というアナウンスが到着したことを教えてくれた。午前中は水族館に行こうと約束していたから並んで水族館に向けて歩く。

「水族館って初めてなんだよね。」

 私がそう言うと貴亮が俺も。とこたえた。

 それから私たちは水族館を満喫した。クラゲを眺め、チンアナゴを見つめ、なまこを触り、イルカショーをみた。本でよく水族館に行く描写はあったけど本で読むより何倍も楽しかった。私たちは水族館の最後にお土産屋さんによることにした。家族と友達、幼い頃からお世話になってる病院の先生たちにイルカのクッキーとかいかにも水族館というようなお土産を買った。それからこっそり貴亮にブレスレットも買った。

 薄緑で所々イルカの形の装飾が着いている。メンズって書いてあったし、落ち着いた色が貴亮のイメージにぴったりだったからこれを選んだ。帰りに渡そうと心に決め、大切に鞄にしまった。

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