君と一緒にいられたら〜青海透の恋愛事情★

青海

第1話

 朝だ…。 

 窓の外から鳥たちの囀りが聞こえる。

 3・2・1 pipipipipipi

 目覚まし時計の音が鳴る。

 今日も目覚ましが鳴る前に起きた。

 さっと時計を止める。

 六時だ。

 

 ベッドから起き部屋のカーテンを開ける。

 「ふ~。」

 朝日が目に入り眩しい。

 大きく伸びをする。

 体を軽く伸ばすと目が覚める。

 

 今日もいい天気だ!

 

 身支度を整え部屋を出る。


 

 ★


 あまり足音をたてないように隣の部屋の前までくる。

 ドアプレートには【真実】と書いてある。

 耳を澄ませるが静かだ。

 まだ寝ているのだろう。

 安心してその向かいのドアに近づく。


 【泉】と書かれたドアに近づく。

 部屋に鍵はかかってないのは分かっている。

 きっと自分たちを信じているからあえて鍵を掛けないのだと思いたい。

 

 ドアの前で深呼吸する。

 ドアを二回ノックする。

 ……。

 返事はない。

 「まだ寝ているのかな?」

 それはそれでいいか…。

 音を立てないように部屋に入る。


  

 薄暗い部屋。

 ベッドを見ると彼女はまだ眠っているようだ。

 窓に近づき遮光カーテンを少しだけ開ける。

 

 外から朝日が少しだけ入ってきて部屋が少し明るくなる。

 そっとベッドに近づき寝顔観察。

 今日もかわいいな…。

 神様、今日もありがとう・・・。

 

 しばらく彼女の寝顔を眺めていたがふと気づく。

 苦悶の表情で時折声を漏らす。

 …これってうなされてる?

 こういう場合、起こすのが親切なのかな…。

 でもせっかく寝てるのに…。

 「んっ…いやっ…助けて…」

 起こす方が良さそうだ。


 「いずみ…朝だよ…」

 そっと肩を揺するが起きる気配がない。

 ならばこれならどうだ!

 眠る彼女の布団に入り抱き寄せる。

 …ああ、あったかい…。

 このまま一緒に寝てしまいたい。

 しかしこのままでは彼女は起きない。

 ぎゅっと抱きしめる。

 「いずみ!おはよう!!」

 

 「〇×□▽!!?」

 きゃあともなんとも表現しがたい悲鳴を上げながら彼女は起きる。

 と同時に後頭部に鈍い痛みと衝撃が走った。

 「痛っ!!」

 涙が出そうになるのを堪えながら振り返る。

 辞書を持った奴が立っている。

 「お前っそれで殴ったのかよっ!!」

 「おっ?わかるか?お前頭が良くなったな・・・。」

 

 事態を理解したのか泉は俺の腕の中で再びうとうとしだす。

 ああ…幸せ…。

 思わずにやける俺を見て馬鹿らしいっとヤツは部屋を出ていく。


 

 ★


 俺の名前は青海透。高校三年。

 色々あって今はこの水野家にお世話になっている。

 現在この家には三人で住んでいて、ベッドで眠る可愛い眠り姫は水野泉。さっき辞書で殴り去った男は泉の双子の兄の水野真実。どちらも高校三年、同い年だ。


 俺の…両親と泉達の両親が元々親友で、どちらの両親も去年海外出張になった。

 大学進学もあるし、環境を変えるのも…ということで一緒に生活させられることになったのだった。


 真実はともかく泉がいるのに俺なんかが一緒に暮らしていいものなのか…。

 

 

 親達が何を考えているのかわからなかった。

 

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