第48話 薬は良薬?毒薬?調査(5)(サンジュリアン視点)
「さて、困りましたね。どうしましょうか」
ヒューリスティは、あまり困っている様子もなくそう言った。
「ヒュー。魔法書は図書館に行けばあるだろ?今何時かわからないがまだやってるんじゃないか?」
「うーん。普通の図書館に求める資料はないでしょう。私の本棚はかなりの蔵書数ですから」
「そんな自慢してないで、どこ調べればいいか教えろよ」
「………少しは自分の頭で考えたらどうですか?魔法に詳しい者の本棚、どんな本でも集まっている場所、この2箇所くらいじゃないでしょうか」
「ほぅほぅ」
「考えてます?」
「ああ」
「………」
「………」
「回答待ちしてますね、その顔は」
ヒューリスティは呆れた顔でため息つきつつ俺の顔を見た。
「なんか寝不足で頭がまわんないんだよな……」
「まったく。私を信じすぎるのもどうかと思いますよ」
そうブツクサ言いながらヒューリスティは、地図を広げ丸を書いてくれた。
丸が書かれた場所は"王宮"だった。
「王宮?」
「王宮と言っても、魔法師団エリアと王宮図書館のことです。ただどちらも入るのが難しく、尚且つ、入っても記録をつけられる場所です」
「お前ならどちらも問題なく入れるじゃないか。同行も許されるだろうし気をつけていれば何を調べてるかなんてわからないだろ」
「何をそんな甘いことを………」
と言いかけてヒューリスティは全て言うことはなかった。
俺がいつの間にか泣きそうな顔で
「だって………やるしかないんだよ………」と、言っていたからだ。
「サンジュ。貴方は大切な人を守るためにその魔法玉を捨てるってことも選択できるのですよ」
ヒューリスティは研究価値の高い魔法玉を俺のために捨てることを提案してくれた。
「ハハ、そうだな。それが1番だよな。だけど………これが貴重な治療薬かもと信じてる奴がいる。本来、捨ててしまうことが作った人を守れるのに、俺は作った人を守りたいと言いながらも貴重な治療薬かもしれないものを捨てられない最低な奴なんだ。俺は結局作った人を守りたいからじゃなく、治療薬を手に入れたいから調べてるんだな………最低だな」
俺は自嘲気味にそう言った。
自分でも気づいていないことにヒューリスティの問いかけで気づいてしまった。
"こんなんだからレイモンドに切り捨てられたんだな"
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます