第3話 現状整理するも整理しきれず

俺は現状を整理してみることにした。


幻のルートを妹に行かせてやるため、様々な攻略本やインターネット、ブログなどを読み漁った知識が今ここで役に立つとは……。



まず、だれ恋のスタートは、俺が第2学年のときから始まる。第二王子とヒロインが入学してくるからだ。つまり、開始まで一年以上ある。


そして、俺以外の攻略対象は全て第二王子の側近候補。

まぁ元は俺の側近候補の者もいたが、前王妃である母上が二年前に亡くなってから、現王妃が第二王子へと推薦し俺から離れていった。

実に寂しい状況だ…。


そして、おそらく、ゲーム内の俺も王から学園時に何か成果をあげろと、言われているのだろう。


俺はぶっちゃけ、あのとき笑顔で頷いたものの

「学園で成果ってなんだ!?成績か!?戦争じゃないんだから手柄なんてたてられるかよ!」

と思っていた。


だが、記憶をはっきり思い出してから気付いた。おそらく、王は第二王子にも学園入学前、同じことを言っているのではないかと。おそらく王妃はビックリするだろうな。


あの成人の間に、第二王子がいた理由。最初は王妃が


"王太子は私の息子だ"


というアピールで連れてきたのだと考えた。

だが、おかしい。


王がそれを許したということは、

王も王太子は第二王子だ、とほぼ思っていることになる。


しかし乙女ゲーム内で、

王は


"第二王子は王に向いていない"


と呟いているシーンがあったのだ。


どういうことだ?


そこで思い当たるのが、

もしかしたら王は、第二王子に対して、学園で成果をあげよと、俺に伝えていることを認識させようとしたのではないか、と。


そして、第二王子にも学園入学前に同じことを言うことで、第二王子自身にも、おまえの立場はまだ定まっていないことを伝えているのではないかと。



うーん。まだるっこしいか?

考えすぎか?


だが、実は、王は意外と俺寄りだ、と感じていたのも確かなのだ。


幼馴染みだった現王妃に遠慮して冷遇しているように見せてはいるが、実はけっこう信のおける者を俺の側につけてくれてたりする。


まぁ、だから、俺はこの二年間生きてこれた、ということにも繋がるのだが……。




と、ここで、

この前提が正しいと仮定して、

王は学園で何を求めているか、だ。


実はこの乙女ゲーム、

在園中、学生たちに様々な領地の領地経営を学ぶという理由から、領主代理的なことをグループ単位でさせる。


領主代理を学生にさせるという暴挙をあまりおおっぴらにはできないため、入学後に知る学園内の秘密事項だ。


貴族の学園ということでそんなことが許されているのだろう。



そして、乙女ゲームということも加味すれば、その試練を皆で乗りきることで一体感を演出しているように思う。

なんか大学時代の研究室に似ている気がする。研究室仲間は一生涯の付き合いになるほど、仲良くなるのだ。



ここで、ゲーム内の俺を振り返ってみると……

確か第二王子の足をひっぱるため暗躍したけど、結局は平民落ちってイベントが多かったな……。


だが、ここもおかしいのだ。


俺は王位継承権を、実は、本当に、望んでなかったりする。

そう、昔から。

記憶を思い出したから、とかではない。


もしかしたら、暗躍するも失敗!みたいな第一王子ぽくない(俺っぽくない)展開は、意図したものなのかと思うくらいおかしいのだ。


でも、第二王子ルートは、処刑エンドだし、これを意図してるとは思えない……。


ゲームの俺よ、何を考えていたのだ……。

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