どうやら主人公は付喪人のようです。 ~付喪神の力で闘う異世界カフェ生活?~
満部凸張(まんぶ凸ぱ)
第1章 どうやら始まりのお話のようです。
第1話:始まりは女神の元で
──この『物語』は俺が主人公として歩いていく『物語』だ。
主人公にはヒーローとか転生者とか英雄とか目立つ者いう意味もあるかもしれないが……。
正義とか悪とかは区別することなく、自分の信じる道を歩き、自らの存在理由を探すという意味で………。
────────────────────
目が覚めるとそこは静かな場所だった。
なんだろう? これは夢でも見ているのだろうか。
体がなんだか軽いように感じる。
後ろを振り返ると、俺の後ろには足の無い死に装束の男女が行列に並んでいるかのように、静かに列を作っていた。
「ん? 霊?」
まさか死んだのだろうか!?
俺は死んでいるのか?
俺は怖くなって、自分の記憶をたどってみる事にした。
確か……。自転車に乗ってて道路をわたっていたら、スピードを落とせずに………目の前が真っ暗に……。
「マジか最悪だ……」
いやでも、あの状況でも別に死んだことは悲しいとは思えない。
ただ、家族にさよならを言えなかったこと……。
あとは予約していた限定ソフビを買えなかったことは未練だった……。
そうこう考えて動いているうちに俺はデカイ門の中に入っていく。
さらに奥に進むと門の先には部屋があり、そこには綺麗な女の人が一人立っている。
初対面でも分かるこの謎の神オーラ。
神様だろうか? それとも女神……?
いや、確かに可愛いが……女神ってもっと大人びていると思っていた。
俺の目の前にいるのは、明らかに俺と同じくらいの年の少女だ。
すると、その謎の女性は俺の事を見て、
「やっと、トイレから戻ってきたわね。早く、人と付喪神の世界に転生されなさい。ほら、早く早く~」
……と、ムスッと拗ねている様な顔で声をかけてきた。
トイレ?転生?付喪神?
その言葉に俺は耳を疑ってしまう。
なぜなら、霊がトイレに行くなんて知らなかったからだ。
それに転生なんて……。
まさか、この女はトイレに行ったという霊が俺だと勘違いしているのだろうか?
俺が驚いていると、突然、体を光が包み込んでいく。
「では、次の世界では早く死なないように気をつけて生きてくださいね。
あと、次にあなたの行く世界では“付喪神と人が共存してる世界”だけど、魔王という存在がその世界で付喪神達と暴れまわっているみたいだから注意して生きてね。
あっ、心配しなくても魔法とかモンスターもいるかもって噂だから。あくまでも噂だけどね~。
そういえば、現代的な技術を持った国もあるらしいけど、転生先の国は指定できないからあんまり期待してはいけません。
それじゃあ、楽しい日々を楽しんでね~」
女の人は毎度言うためのセリフを棒読みで言った。
やっぱり、はっきりと俺に向かって……。
「えっ、まさか俺に言ってます?
俺はそんな世界に転生するなんて事は選んでません。
まだ、そんな世界に行くなんて心の準備も……。
そんなちょっと待って話を…。お願いちょっ待……。
ちょっと待てェェェェェェ!!!」
しかし、もう手遅れだった。
一瞬光が差したかと思うと、光に包まれた俺は転生先の世界に既に移動し始めていたのだ。
そして、その光は俺の体を宙に浮かせる。
どうやら、この光に包まれて俺は宙を飛びながら異世界へと行くようだ。
最悪だ………。
俺が異世界へと飛ばされていく最中、遠くにトイレから戻ってきた霊が見える。
「なんで!?
じゃあ、今のはまさかあなたの双子?
だから似ていたのね。そりゃ間違えるわけだわ。
あっ、電話が鳴ってる。
はい、もしもし。どうしたの死神ちゃん?
えっ、違う。また私やらかしたって……?」
そして、震え声で必死に自らの失敗を認めようとはしない綺麗な女の人の顔が青ざめているのも見える。
「(人の話も聞かずに行動するからだ。ザマーみろ……。)」
そして、俺の意識は遠くなっていった。
────────────────────
この世界には付喪神(つくもがみ)というものがいる。
付喪神…それは物が100年たって魂が宿ること。
近年、人々は邪悪な付喪神によって平穏な人生を送ることができなくなってしまった。
しかし、そんな中、一部の人々のに付喪神の力をその身に宿し付喪神と戦う者が現れる。
その人々を皆は敬意を持ってこう言う。
付喪人(つくもびと)と…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます