引きこもりな第三王女は家を追い出されたので、今度は自分で物語を探しに行きます。
枝咲
プロローグ クラエンス王国の第三王女
私は本が好き。
一冊一冊に知識が詰まっていて、特に物語は他人の人生、思考を覗き見ているようでとても興奮する。
クラエンス王国第三王女エリーナ・クラエンスは王女としての知識、教養はもちろん。物心つく頃には字の読み書きを完璧に習得し、本という本を読み漁っていた。
さらには7歳に行われる成人の儀式で、この国の聖女のみが持つという虹色の魔力の才をも開花させている。
そんな優秀な彼女は一部の層から大変支持されていて。
彼女を次期王にと密かに画策している人たちもいるが、この国は代々男性が王位を継いでいる。上に優秀な兄が二人いる彼女には、王権など興味もない上完全に縁のない話し。
無駄な争いにも巻き込まれない今の環境にも心の底から感謝していた。
彼女が全ての関心を向けるのはこの世でたった一つ本のみ。
暇さえあれば本を読みたいし。
権力よりも睡眠よりも食よりも他人の知識や経験がたくさん詰まった、本の世界に生涯浸ることが。現在齢14歳のエリーナ・クラエンスの夢だ。
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