第25話
「へぇ~、フィーネってタドール王国出身なんやね♪」
プリンを食べながらユーリはフィーネに色々聞いてた。俺達はあの後、[方舟の休息]で親睦会を開いてた。
「は……はい! でっ……でも田舎なので……その……」
「焦らんでええで? フィーネのペースで話してくれたらええねんで♪」
どうやらフィーネは、人見知りで、人と話すのが苦手みたいだった。
「今まで……こうして同じ歳の子と……その……経験なくて……」
「ちっ! つまり慣れてないから、緊張してるって、言えばいいだろ?」
「ふふっ♪ クリス、そんな言い方したらダメじゃない?」
「す……すみません」
クリスが舌打ちをして、嫌味っぽく言ってたが、エマの微笑みを見て、恐怖を感じ謝ってた。
「まぁ、初めてなら緊張するのも仕方ないだろ? それよりフィーネ、君の能力と武器とか教えてくれないか? これからチームとして、一緒に行動するんだしさ。」
「あ……ありがとうございます! レイジさんは、チームにも入れてくれて……今も自分のペースでって優しくて……その……お兄さんみたいでホッとします」
テーブル挟んで向かい合ってるせいで最後の方よく聞こえなかったけど、まぁその辺も、慣れていけば治るだろう。ただ、ユーリとエマは、聞き取れてたようで、エマはクスクス笑ってたし、ユーリはなんかアワアワしだしてよく分からなかった。
「あっ! 能力とかですよね。 能力はよく分からないんです……」
「分からない? 接続はできるんだよね? その時頭に入ってきたと思うんだけど?」
「はい……接続は出来るんですけど……足すことが出来るとしか……武器は杖で魔法とかなら色々使えます!……やっぱりお荷物でしょうか?」
フィーネはそう言って辛そうに俯いた。
「そんなことは無いぞ? むしろ、魔法が使えるだけで凄いと思ってる。それに能力に関しても、今はわからなくても、そのうちわかることだろうしな」
「そうですよ♪ それにチームとしてのバランスも良いですし、もっと自信もってください」
「レイジさん……エマさん……あ……ありがどうごじゃいましゅ!」
フィーネは、そう言いながら泣き出してしまった。全く……今まで1人で辛かったんだろうな……
暫くして、泣き止んだフィーネにユーリとエマが、これでもかと絡み、楽しい親睦会になった。
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親睦会を終えた次の日、俺達の演習先が決まった。
フェニクス帝国の南部にある、バスタ村に行くことになった。ノアからもそんなに離れてなく、比較的安全な所らしい。
それから出発までは準備やトレーニングに重点を置く事になったのだが、一つだけ気になることがあり、俺はエマに聞いた。
「エマもクリスもフェニクスに行って良いのか?」
「良いのかと、言いますと?」
「だって、エマの正体とかバレるだろ?」
「その辺は大丈夫だと思いますよ♪ それに、万が一バレても、ゆっくり話して説得したら、公にはなりませんよ♪」
そう言ってエマは、ふふっと手を当てて笑ってた。正直どんな話をするのか気にはなったが、なんか恐怖を感じたから、触れないことにした。
「てか、クリスとエマはこの村知っとるんか? 知っとったら、どんな所か教えて欲しいんやけど?」
「俺は知らないな南部とかそもそも行くこと無かったし」
「そうですわね……凄くのどかな場所としか、わからないですね」
「つまり田舎って事か……まぁ、俺も田舎だったから何となく、どんな所なのか、わかった気がするよ」
「わ……私も……田舎なので……わかります……」
「ウチはなんとなく、って感じでしかわからんなぁ~」
ユーリはクリスやエマと同じで町なのか……
そんな事を考えてたら、先生が皆に話し始めた。
「そうだった。出発前にお前達には、
「なぁ先生! 本契約ってなんなんや?」
「今お前達がしてるのは、呼び名を決めただけで、正式な名前を決めた訳じゃない。そのせいで今のお前達は、本来出せる能力の半分程しか使えてないってことだ! それを全力で出せるようにする為に、本契約を結んでもらう!」
今でまだ全力じゃないのかよ……
(レイは、気づいてたんじゃない?)
(え?)
(だってレイは、まだ使えてないでしょ? 自分だけの必殺技♪)
(……あっ!)
(ふふっ♪ 思い出したみたいね♪ 私が使った
嫌な記憶も思い出すけど、確かに姉さんのあの技は、すごく強力だった事を覚えてた。
(俺もあんなすごいのが使えるのかな?)
(もちろんよ♪ でも何回も連続で出せないから、使い所は大切よ?)
(わかったよ姉さん)
「特にグローレインとリーヴァル! お前達2人は特に今後気をつけるように! 頭に血が上って模擬戦で暴走しないように!」
「気をつけます」 「わかってます」
俺とクリスは名指しで注意され、素直に返事した。
それにしても本契約か……姉さんに聞いて先にやってもいいかもな……
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