第15話

 俺は両手に分かれた光の粒子を握りしめた。その瞬間、それぞれの手に白と黒二丁の銃が現れた––左手に持つ黒い銃は、普通のサイズでバレルの下側から銃口付近まで刃が伸びてた。右手に持つ白い銃は、黒い銃よりバレルが長く、コチラもバレルから銃口まで刃が伸びてる。デザインは共にハンドライフルみたいな形をしてた。


「な……何が起きたんだ? それに君の左眼も色が……」


 先生は突然武器が変わった事に驚いてた。それにしても左眼がどうしたんだ?その瞬間また頭に情報の波が押し寄せてきた。


「うぐっ……っかは!……はぁはぁ…」


 二度目とは言えなれることも無く、今回は頭が割れるような頭痛に、一瞬俺は襲われた。


(レイ大丈夫!?)


(姉さん平気だそれより俺の左眼は、どうなってる?)


(左眼? ……っ!? レイ! 左眼が…瞳が赤くなってるわよ!? 大丈夫なの!?)


(別に痛みとかは無いから大丈夫だよ)


 どうやら俺の左眼の瞳だけ赤くなってるらしい。そしてきっとはこの眼のおかげなのかと、俺は納得した。


「説明しなさいグローレイン!! 一体何が起きたんだ!!」


 先生は、俺が返事しない事に苛立ち、少し怒鳴りながら言ってきた。


「安心してください。それにこの姿も含めて俺の武器なので」


 あの時、最初に情報が流れてきた時、この武器の事も頭に流れてきた。どうやら姉さんもだったけど、先生も知らなかったみたいだ。


「聞いたことないぞ……二刀流なんて……」


「コレばかりは俺も分からないので何も言えませんが、とりあえず行きますね」


 そう言って俺は呆然としてる先生に向かって銃口を向け発砲しながら、接近した。


 先生は俺が攻めてきたのに気が付き、放たれた弾丸を必要最小限で避けようとした。 その瞬間、先生は驚愕し慌てて大きく飛んで避けた。


 俺はその先生を追いかけ、左手で発砲しながら、右手は斬りつけるために思いっきり振りかぶってた。


「ちっ! クソ厄介な能力身につけやがって!!」


 先生は舌打ちをしながら避けるのでは無く、槍で全て弾いてた。そりゃそうだろうなを考えたらそうするか、大きく逃げるしかないよな?


 俺は先生に接近したら、右手で斬りつけた。それを先生は槍で受け止めた。そのまま俺は左手で先生目掛け突きをした。しかしそれを間一髪で先生は体を捻り回避する。その後休むことなく俺は、左右不規則なリズムで交互に斬りつけた。しかし先生には届かず、避ける受け止めると全て捌かれてく。


(レイ! 切りつけるだけじゃダメ! 確かに刃が付いてるけど、あくまでコレは銃よ!)


(銃……そうか! 斬るだけじゃ足りないなら!)


 俺は、そのまま斬りつけながら銃口が先生に向いた瞬間発砲した。弾丸が先生めがけて真っ直ぐ飛んでいく。至近距離だった事もあり、俺は当たったと確信していた。


「もらった!」


 俺は、大声で叫んだが、次の瞬間先生の姿がブレ視界から消えてしまった。


「なっ!?」


 驚いた俺は辺りを見渡した。いつの間にか先生は横に飛んで回避してた。


「まったく先生を殺す気か! 模擬戦なんだから今のは過剰攻撃だろ! 先生じゃなかったら、死んでたぞ!」


 そこで俺はこれが模擬戦だった事を、思い出した。


「すいません…俺いつの間にか先生に勝つ事しか考えてなかったです……」


「先生も能力を使ってなかったし、手を抜いてると思える行動や言動があったから、それに苛立ってたんだろう。ただこれからは、気をつけるように、あくまで訓練であり、殺し合いをしてる訳じゃないからな」


「はい……以後気をつけます」


「ところでグローレイン君、剣の時と能力が変わってるような気がしたのだが?」


「はい、この状態の時とその前の時は、確かに違います」


「最初のは確証は無いが、今のはホーミングかな?」


「よくわかりましたね。視界に入れて狙ったものに対して少し修正してくれるんです」


 そう、赤い瞳の正体は能力で、少しだが追跡してくれる弾丸を撃つ事が出来る。


「まったく……規格外にも程があるだろ……まぁ調律師としては物凄く素晴らしいことであるが」


 そう言って頭に手を当てやれやれと、ため息をついてた。


「それで…模擬戦はどうしますか?」


「ん? もうこれぐらいでいいだろ? 今の時点でも観戦してる生徒には、まったく理解が追いついてないかもしれないしな。まぁ、先生的には全力でやってみたいけどな!」


 そう言って模擬戦を終わらせた先生は、ニコッとこちらに笑みを向けてきた。だが、その笑みを見た俺は、まるで全身金縛りにあったかのように動けず、冷や汗がドッと出てきた。


「ははっ……出来ればお断りしたいですね」


「遠慮する事は無いぞ? あんだけ熱烈な弾丸をぶちかましてくれたのだからな」


(思い出した! レイこの先生ね、強くなりそうな将来有望な生徒がいたら、めちゃくちゃスパルタ指導してくれるんだった)


(それ先に言って欲しかったよ姉さん!)


(まぁまぁ♪ 逆にそれだけ期待してるって事だよ♪)


 俺はこれからの事は思ったら、ただただ後悔していた。


「とりあえずみんなの元に帰るぞグローレイン!!」


「はい!って先生もう君付けしてくれないんですね」


「甘やかすつもりは無いからな」


「お手柔らかにお願いします……」


 俺は接続コネクションを解除して先生と一緒に観戦スペースにいるみんなの元に戻った。

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