第7話

「あっ! レイジと同じクラスやん! せっかく仲良うなったのに、違うクラスやったらと思たらウチな、寂しいなって思てたんよ♪」


 そう言って嬉しそうにユーリが言ってきてくれたが、まさか俺が見つけるより先に見つけられると、なんかちょっとくるな……


 教室に行って特に席の指定は無かったか空いてる席に適当に座った。ユーリも俺の隣の席に座ったが、他の人と仲良くなりに行ったりしないのかな?

 

「はよ先生来んかねぇ♪ はよ調律師チューナーになりたいわぁ♪」


「だな。結構人も増えてきたし、そろそろ来るんじゃないか?」


「なんやレイジ? 急に冷めとるけど、あれか? 緊張しとるんか?」


「ばっ…バカ、そんなわけないだろ?」


「ほんまかぁ~?」


 俺がユーリにからかわれてると知らない男から急に声をかけられた。


「前失礼するよ? 入学早々イチャついてるけど君たち余裕だね?」


 そう言って男は呆れた感じで俺達を見て前を向いた。


「なんや? どうせさっきの試験でボコボコにされて、ナーバスにでもなっとるだけやろ? ウチらに当たらんとってくれるか?」


「ユ…ユーリそれは言い過ぎじゃ?」


「ホンマの事やろ? 負けたからっていつまでも、いじけてちっちゃい奴やなぁ」


「君なぁ! 流石の僕もそれ以上言うなら黙っていないぞ?」


 流石にコレはユーリが悪い。俺は慌てて間に入ろうとしたが時すでに遅かった。


「なんやねん! ホンマの事やろ? それになぁ、ウチの名前は君や無いねん! ユーリってちゃんとした名前があんねん!」


「大体僕が言いたいのは!「ウチに名乗らせて自己紹介も出来へんのか!?」なんだと!」


 2人は怒りに任せ勢いよく席を立った。まさに一髪触発の状態に、クラス全体が静まり返った。


「大体君は!「ユーリや!」ちっ! ユーリが勝手に名乗っただろ? なんでそれで僕が名乗らないといけないんだ!」


「ほなウチは、アンタの名前知らんから、好きに呼んでもええってことやなぁ? そうやろ? いじけ虫のボンボン!」


 いじけ虫のボンボンってなんだよ……てかボンボンってなに?


「なんなんだその変な呼び名は!! 僕はそんな名前じゃない!! 僕はクリス、クリス=リーヴァルだ!」


「なんや? ちゃんと名前あるやんか。最初から名乗っとけばええねん!」


 面倒いがこれ以上は本当に危険そうだな。


「ユーリ落ち着け。悪目立ちして初日から拗らせるのは得策じゃないだろ?」


「せやけど…」


「彼氏もそう言ってるんだし、これ以上は関わらないでくれ」


「いや俺達は…「クリスまた周りに迷惑かけてるの!?」え?」


 俺がクリスの誤解をとこうとしたら突然大声で叫んでコッチに女性が来た。


「な…なんで君がここにいるんだ!?」


「なんでって、私もこのクラスなの! それで入ってみたらクリスが早速喧嘩売ってるし!!」


「こ…今回は俺からじゃないからな? 向こうから喧嘩売って来たんだ!!」


 少し戸惑ってクリスは答えてた。女性はコチラに振り返り頭を下げてきた。


「本当にすいません!! 私はエマ、エマ=オライオンです。クリスとは小さい頃から一緒に居るんだけど、この人いつも、すぐに喧嘩するから目が離せないのよ」


 そう言って肩を落としてた。苦労してんだなこの人...


「まぁ今回はコッチが悪い部分もあるからお互い様ってことにしないか? それでいいなユーリ?」


「ウチも言い過ぎた部分あるし、それでええよ…」


「そういう訳で、クリスも良いかな?」


「ふん! まぁ僕はそれでいいよ」


 どうにかエマが来てくれた事で収まることが出来た。


 その後先生が教室に来て簡単な自己紹介とかを済ませた。どうやらクリスとエマは、北の国フェニクス帝国出身らしい。


 そしていよいよ俺達が楽しみにしていた時が来た。


「これから名前を呼ばれた人は前に来てくれ」


 そう言って1人1人呼び倫理的歯車エシックスギアを渡していた。そして俺とユーリも呼ばれそれぞれ受け取り席に戻ってた。


「これからとても大切な事話すから、絶対忘れるなよ。まず1つ目、1度指にはめたら絶対外さないように、と言っても斬られない限り外せないんだがな。2つ目、コレははめた時だが一瞬立ちくらみみたいなのが起きる。コレは倫理的歯車エシックスギア同調コネクトするの為だから慌てないように。そして最後に、同調コネクト後何を見ても驚かないように、ちゃんと説明するからな。ここまででなにか質問はあるか?」


 俺は最後のが気になったが、まぁコレばかりは、はめてみないと分からないから質問するのをやめた。


「それでは、これまでの話をふまえて、調律師チューナーになる覚悟がある者は、右手の薬指にはめてくれ」


 俺はそれを聞いて迷う事なく倫理的歯車エシックスギアをはめた。少しゆるい気がしたが、はめ終えた瞬間締まるような感覚がして、その後チクリと針を刺すような痛みが走った。次に頭がクラっとして視界が歪み一瞬シャットアウトされた。そして視界が戻り、周りを見渡した。ふと俺の後ろに浮いてる人物を見て俺は言葉を失った。


 そこに浮いてたのは……あの日俺の腕で···俺のせいで···永遠の眠りに着いたはずの……


「ステラ姉さん?」

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