エシックスギア
海音²
序章 入学
第1話
俺、レイジ=グローレインは、今日で、育ったマール村を出る。今年から俺は、夢だった
ファントム···今から100年前、人類は4カ国が、世界統一を目指し、日々いろんな所で戦いが、続いてたらしい。俺からしたら、人間同士何してんだよ? って思うんだけどな。人と人が、日々争い血を流してた、そんなある日、突如空が歪み、そこから現れたのが、ファントムと呼ばれる、謎の集団だった。
人類は、その謎の敵に為す術もなく、最早戦争どころじゃ無くなり、人類一丸となってファントムと、戦うことになる。その時結ばれたのが、4カ国不可侵略同盟––通称4カ国同盟だ。
4カ国は、各国の技術を掛け合わせ、ファントムに対抗する手段を、得ることが出来た。それが、調律師と呼ばれる集団だ。彼らは、特殊なリング
それから100年······今なお、ファントムとの戦いは続いてる。奴らは、
つまり、100年も防衛戦を続けながらも、いつかファントムを滅ぼし、人類が平和になると、信じてるってわけだな。さてとそろそろ時間か······
俺は必要最低限の荷物を鞄に詰めて持ち、慣れ親しんだ家を出ることにした。家を出る時、俺は後ろを振り向いて、誰もいない殺風景な部屋に、静かに挨拶をした。
「ステラ姉さん行ってきます」
誰もいない部屋から返事が返ってくるわけもなく、ただ静寂だけが返ってきた。俺は、暫く部屋を目に焼き付け、『必ず帰ってくる』と心で言って家を出た。
マール村には出入口が1箇所のみで、それ以外は高い塀で囲われている。コレも、長年培ってきた対ファントムの、防衛策って訳だな。出入口まで歩いていくと、そこには、お世話になった人達が、俺を見送りに来てた。
「レイジいよいよだな!」
「あぁ、やっとこの日が来たよ」
俺を見つけるなり、ニカッと笑って話しかけてきた男は、マルコだ。彼には、俺が調律師になると決めてから、いつも修行に付き合ってもらってた。いつも忙しいのに、俺の為に時間を作ってくれたり、まぁ···俺にとって、兄ちゃん的存在ってのが、1番しっくりくるな。ただなぁ······手加減なしだから、結局勝ち越せなかったんだけどな······強すぎなんだよ、絶対なにか能力使ってただろ?
「レイジ、道中気をつけてね?きっとここにステラがいたら、彼女泣きまくってるかもね······」
「あはは······ステラ姉さんなら充分有り得そうだな。それに、フィルも泣きそうになってるじゃないか」
「私はまだ······泣いてないから、いいの」
そう言って、涙目で俯いてしまった女性はフィルで、半年前に亡くなってしまったステラ姉さんとは、昔からの親友であり、戦友だ。フィルは、ステラ姉さんが亡くなってから、俺の身の回りの世話や、今回の入学手続き等を手伝ってくれてた。俺にとって、もう1人の姉さんとすら思ってる。
そして、ここに居ないステラ姉さん......姉さんは調律師だった。もちろん今いる2人も、この村を守る調律師だ。姉さんは俺の目標であり、憧れで自慢の姉さんだった。そんな姉さんは半年前······村を襲ったファンムのせいで···違うな···
その事があって、俺は家で塞ぎ込んでたけど、この2人が俺を立ち直らせてくれた。そしてその時、俺は誓ったんだ!! 夢だった調律師になるって。そして、いつか姉さんみたいな凄い調律師になるって。
まぁそれからは、修行と言うある意味地獄の様な日々だったけどな······今思い出すと、何かにがむしゃらにならないと、すぐ姉さんの事を思い出してたから、きっと2人は、そんな俺に気を使ってくれてたんだと、今はその優しさに感謝してる。
「それじゃ2人とも、俺行ってくるよ! 2年後必ずここに帰ってくるから!! それまで村をお願いします!」
「まかせろレイジ!! 2年後!! 楽しみに待ってるからな? お前は、剣術と格闘技だけは良かったから、きっと武器も剣かガンドレットだろう。しっかり向こうで、強くなってレイジが帰ってきたら、また模擬戦やろうな!」
「まぁ、その頃には俺が強くなりすぎてて、今までの負け分を含め、余裕で勝つけどな!」
「ぬかせ!」
そう言って、俺とマルコは拳をぶつけ合った。そして俺は、フィルの方に顔を向けた
「レイジ······家は定期的に掃除しとくし、ステラのお墓もちゃんと綺麗に、しとくからね♪」
「フィル······本当に何から何までありがとう。2年後、俺必ず帰ってくるから、また会おうな」
「えぇもちろん! ノアのお土産を、沢山持って帰ってくるって期待しとくからね♪」
そう言ってフィルは、俺を優しく抱きしめてくれた。暫くしてフィルが離れたから俺は、村の門を出た。
「2人とも、行ってきまーす!!」
「「行ってらっしゃい!!」」
2人は、俺が見えなくなるまで手を振ってた。
俺は2人から顔が見えなくなったのを、確認して、しばしの別れに涙を流した。
「姉さん、俺···必ず姉さんみたいな調律師になるから!! 俺を守って良かったと天国で思ってくれるように·····俺、精一杯頑張るから!!」
俺は誰もいないが、そう呟いて空に目一杯拳を突き上げた。
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